
久留米大学高次脳疾患研究所は、前身の脳疾患研究所が1963年に設立され、2023年に60年を迎えました。
2002年に改組後は、これまでの学内外の皆様の支援に加え、文部科学省の私立大学オープン・リサーチ・センター事業をはじめとする助成や脳科学に関連した医学部の基礎及び臨床講座、文学部心理学科などにより運営されており、子どもの神経発達症から老人の認知症にいたるさまざまな精神神経疾患の研究を目的としたオープン・リサーチ・センターとして、脳科学における新たな知見を内外に発信してきました。
また、2003年、臨床部門の拡充により久留米大学病院内科総合外来に「物忘れ外来」が開設されました。地域の専門医療機関、一般病院や精神科病院と緊密な連携を図り、久留米市を中心とした北部筑後地方の中心的医療基幹病院として、病院での診療のみならず、久留米市や地域包括支援センターと協働で地域に出向いた「もの忘れ予防検診」等の活動、認知症に関連する様々な情報の共有や関係者の研修、一般の方々への情報発信や普及啓発活動なども含め、幅広く活動してきました。
現在、臨床部門及び基礎医学や臨床医学に関連した3つの研究部門によって、子どもから高齢者まで、産後のうつ病や発達障害、様々な精神・神経疾患、高次脳機能障がい、認知症など、臨床検体、病態モデルを利用した疾患そのものの病態、治療に関する研究を進めると同時に、疾患を抱える人々を助けるには、日常生活や社会生活を支援するための社会的なアプローチが必要であり、ICTやAIを活用した地域包括ネットワークの構築に力を入れております。更に、若手医師に加え、臨床経験を活かして研究を志す医師や研究者の育成、サポートにも取り組んでおります。
今後も所員一丸となり、脳疾患に関わる様々な課題に全力で取り組んで参ります。引き続きご支援、ご協力をお願い申し上げます。
小曽根 基裕