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 よくいただくご質問

  〜臨床試験に関すること〜

  1. テーラーメイドワクチン臨床試験について
  2. ワクチン治療に係わる費用について
  3. 申し込み手続き・適応(リンパ球数)、申し込み状況について
  4. 副作用について
  5. ワクチンの効果について
  6. 投与中の生活の質について
  7. ワクチン投与のデメリットについて
  8. 先進医療について
  9. ワクチン投与部反応とPET検査について

 1.テーラーメイドワクチン臨床試験について
  

Q1. テーラーメイドペプチドワクチンとは、その人に合うワクチンを投与するということでしょうか?

  基本的にはその通りです。
  当方では、ワクチン開始前に患者さん個々の白血球の血液型(HLAといいます)と、
 投与 前免疫活性(患者さんの血液中のペプチドワクチンに対する抗体の値)を測定しま
 す。そこで免疫活性が上昇しそうなワクチンの候補を予め用意した31種類の中から選び
 ます。実際に投与するワクチンの数は最高で4種類と決めていますので、原則投与前免疫
 活性の高いものから4種類選ぶことになります。

  したがって、患者さん個々によって投与するワクチンの種類が異なります。これを称し
 て「テーラーメイドペプチドワクチン」と呼んでいます。

Q2. ペプチドワクチンを投与する場合に、どれくらいの間隔で投与するのですか?

  現在複数の投与方法(プロトコールといいます)があり、がんの種類などによって異な
 ります。代表的なものを2つご紹介いたします。

  @ 6回投与がひと区切り(クールと呼びます)の臨床試験の場合
     1クール目:毎週投与 (初診から1クール終了までの期間:7週間)
     2クール目:隔週投与 (初診から2クール終了までの期間:19週間)
     3クール目以降:2週間隔以上(試験担当医と相談の上決定)
  A 8回投与がひと区切りの臨床試験の場合
     1クール目:前半の4回:毎週投与、後半の4回:隔週投与 
           (初診から1クール終了までの期間:13週間)
     2クール目:4週毎投与 (初診から1クール終了までの期間:45週間)
     3クール目以降:4週間隔以上(試験担当医と相談の上決定)

 *全ての試験の内容が上記どおりではございませんのでご了承ください。



Q3. このテーラーメイドワクチンは臨床試験と書いてありましたが、臨床試験について教えてください。

 一つの候補治療薬が実際の新薬になるまで幾度かの検証を重ねていかなければなりません。

 第一段階:探索的臨床試験
 @ 第1相試験…安全性の確認、安全な投与量の確認する試験
 A 第2相試験…実際に効果が出るかを少数の患者さんに投与して調べる。
        同時に効果が出る薬の量を調べる試験
   (上記までで結果が出れば次のステップへ)

 第二段階:検証的臨床治験

 B 第3相試験…多くの患者に投与し、既存の治療法と比較して安全性及び有効性を調べる。
   (第3相試験ではより正確な検証を行うために、厳密な比較試験を行います。) 
 第三段階:薬事申請 ⇒ 国から新薬承認 ⇒ 保険収載

  当方のテーラーメイドペプチドワクチン治療は、脳腫瘍と前立腺がん(第3相試験)を除
 いて臨床試験の段階(第2相臨床試験)です。臨床試験では臨床効果を検証するための第3
 相試験に参加して頂く患者さんにある一定の条件を定めさせていただいております。予め
 ご了承いただいております。(がんの種類によって細かい部分が異なりますので、詳しく
 はホームページ内の各がん種のコーナーでご確認ください)
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 2. ワクチン治療に係わる費用について
  

Q1. 試験に参加する場合、治療費を支払わないで済むのでしょうか?

  当初臨床試験を始めた9年間(2000-2008年)は、完全に公的な研究によってその費用
 が賄われていましたので費用は頂いておりませんでした。

  ところが、試験が進み、同時に多種のがんで臨床試験を行うようになったため、効果を検
 証する意味でより多くの患者さんに試験に参加して頂く必要がでてきました。

  しかし、残念ながら今のところそれだけの大人数の患者さんを対象とした臨床研究がで
 きるだけの公的な研究費を 頂くことができません。そこで現在のところは、臨床試験に係
 わる費用のうちの一部を参加される患者さんに自己負担して頂いています。
 ご了承のほどよろしくお願いいたします。

Q2. どのくらいの自己負担になるか教えて下さい。

  大まかな費用は以下の通りです。ワクチン投与1回につき約10万円(投与本数に拘わらず
 同額)です。初診時には、診察料金、一般採血検査、投与ワクチンを決定する検査、白血
 球の型を見る検査などで約10万円ほどがかかります。
1クール 2クール以降
ひと区切り6回の臨床試験 約72万円 約62万円
ひと区切り8回の臨床試験 約92万円 約82万円
 ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 3.申し込み手続き・適格基準(リンパ球数)、申し込み状況について
  

Q1. 現主治医による治療との併用は可能ですか?またその場合、どういう手続きが必要か教えて下さい。

  現在行っている治療(化学療法など)との併用は可能ですが、他の免疫療法との併用は原
 則としてご遠慮頂いています。がんワクチンの臨床試験に興味をお持ちの方は@からの手順
 でお願いします。

  @ ホームページを一通りご覧になって、がん種別の項目から適格、除外基準などの情報を
  得てください。パソコンなどが活用できない方は電話でお問い合わせいただくと、
  一通りの資料を請求していただくこともできます 。⇒詳しくはこちらをクリック
  A ホームページからダウンロードもしくは郵送でお送りした必要書類の主治医先生用資料
  をお渡しして、ペプチドワクチン臨床試験に参加されたい旨、現主治医に相談をして、
  了承を得てください。
  B ホームページからダウンロードもしくは郵送でお送りした必要書類に内容記入して
  (一部主治医記載のものがあります)、主治医からの診療情報提供書(出来れば直近の
   画像をCD-Rに焼いたもの)を添えて当センター事務局まで郵送をお願いいたします。
    当方へお送りいただく書類は
     i.  申し込み用紙(ご本人記入)
     ii.  適格基準チェックシート(主治医記載)
     iii.  診療情報提供書(主治医作成したもの、様式は問いません)
     iv.  出来れば直近のCTなどの画像(初診時でも構いません)
     v.  返信用封筒(切手を貼付したもの)となります。
  C こちらで担当医による臨床試験参加基準について審査を行い、適格と判断されれば事
  務局の方からご連絡を差し上げます。その時点で初診の予約を行います。残念ながら不
  適格となられた場合は、お手紙にてその理由をお知らせしています。審査には1週間ほど
  お時間を頂きます。
  D 上記の手順でご不明な点がありましたら、がんワクチンセンター受付(0942-27-5211)
  にお電話ください 。

Q2. 申し込みから受診までは、かなり待たないといけないのでしょうか。

  以前には申し込み患者さんが多い時期がありました(マスコミで取り上げられた後)が、
 現時点(2015年3月)では 混雑が解消されており、申し込みいただければ早期においでい
 ただくことが可能です。

Q3. 申し込み状況について、特に申し込みから初診までの期間はどのくらいですか?

  2014年1年間で約600人の新しい患者さんに臨床試験にご参加いただき、延べ6800人
 の方に通院頂きました。申し込みはその1.5倍近い数でしたが、残念ながら書類審査の時点
 でリンパ球数が不足した方や、主治医の先生のチェッ クリストの中に「不適格条項」が入
 っていた方にはお手紙でお断りさせていただきました。

  2015年3月現在ではお待たせする患者さんは殆どいない状況で、スムーズに
 申し込み⇒予約⇒初診と流れています 。申込書を受理してから書類審査を問題なく通過
 すれば、速やかに当事務局より初診予約の電話をおかけしている状況です。

Q4. 久留米大学病院(含医療センター)で、がんの治療を行っている患者は、参加しづらいと聞きましたが。

  当方の臨床試験では料金が発生するので、我が国の医療制度上「自由診療」という形に
 なります。1か所の医療施設で従来の診療である「保険診療」と「自由診療」の両方を行う
 ことは「混合診療」となり禁止されています。そのため久留米大学病院および久留米大学
 医療センターにて、治療をうけておられる患者さんが臨床試験に参加するには臨床試験参
 加期間だけでも、他の病院で治療を受けていただく必要がありました。
  しかし、2014年より久留米大学病院および久留米大学医療センターにて治療をうけて
 おられる患者さんは久留米市内の内藤病院でテーラーメイドワクチンを受けていただくこ
 とができます。詳しくはがんワクチンセンター受付(0942-27-5211)にお電話してくださ
 い。

Q5. 臨床試験に参加したいのですが、適格基準の中に「リンパ球数」の項目がありますが、少なければ参加できないのでしょうか?

  私どものがんワクチン療法では、ワクチンを投与してリンパ球の一つであるキラーT細
 胞を増やすことを目的としています。ワクチンによって刺激を受けるリンパ球数は、多い
 ほど有利であると考えられます。実際に初期に行った前立腺がんでの試験では、リンパ球
 数が1tあたり1000個以下の方には、ワクチンの臨床効果がよく得られませんでした。
  しかし、最近乳がんや膠芽腫の臨床試験などで900個を超えている場合では、良好なワ
 クチン効果が得られる可能性のあることが判明しましたので、前立腺がんを除くがん種で、
 基準値を1ccあたりで900個以上と変更させていただきました。

Q6. 化学療法(抗がん剤治療)中は、リンパ球数が基準値を超えないのでしょうか?

  大部分の抗がん剤には、副作用に「骨髄抑制」が挙げられます。 抗がん剤投与によっ
 て骨髄で作られる血球成分(白血球、血小板、赤血球)は下がります。特に、血球の中で
 も寿命の短い白血球に大きな影響が及びます。さらに、白血球の中で、下がり易くて上が
 りにくいのがリンパ球です。言い換えると、抗がん剤投与の後、最初に減って、最後に上
 がってくるのがリンパ球ということになります。
  抗がん剤投与の間隔を空けると、下がったリンパ球数が元に戻る時間的余裕が生まれ、
 基準値をクリアし易くなります。実際どのくらい空ければ良いかは、個人差や使用してい
 る抗がん剤によって様々でありここでは記載できませんが、基本的には1回抗がん剤投与
 をスキップすれば確率はかなり上がると考えられます。

Q7. 化学療法(抗がん剤治療)中でリンパ球数が心配な場合、初診の時期は考慮してもらえますか?

  初診日を決定する際に事務局からお電話を差し上げます。その時にご相談ください。  
 こちらでは主治医の先生からの化学療法の有無などが記載された診療報提供書があるので、
 大まかな事は解りますが、実際の日程までは把握できません。化学療法の内容や日程など
 をお教えいただければ、初診日をなるべくリ ンパ球数が上がっている(戻っている)日に
 設定したいと考えておりますのでご協力をお願いいたします。
  また、初診時にリンパ球数が基準値をクリアしていれば、ワクチン投与中のひと区切り
(クール)ごとに採血を行いますが、その時にリンパ球数が下がっていても希望されれば
 ワクチンは継続できます。

Q8. 初診時にリンパ球数が足りなかった場合はどうなるのですか?

  初診時の採血でリンパ球数が足りない場合は、残念ながらワクチン投与の開始はできま
 せん。しかし、後日リンパ球が上がった時期を見計らって再度お越しいただくことは可能
 です。  

Q9. 最近、先進医療(高度医療)など、民間のがん保険で賄えるものがありますが、このがんワクチンは適用にならないのでしょうか?

 前立腺がんの一部が先進医療B(高度医療)として承認されています。がしかし、他の
 がん種の患者さんには基本的には先進医療としては認められていません。最近の民間がん
 保険では通院での保険料の支払いはできることが多いと聞き及んでいます。先進医療につ
 いては8.をご参照ください ⇒詳しくはこちらをクリック
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 4.副作用について
  

Q1. ワクチンそのものの副作用は、どうでしょうか?

  ペプチドワクチンは、皮下注射をしますのでそこが赤く腫れてきたり、皮下に硬結がで
 きたりします。程度の差はありますが、ほぼ全員に投与部の皮膚反応がみられます。 腫れ
 た部分に痛みを感じることはあまりありませんが、皮膚から細菌が侵入し炎症を起こすと
 痛みを伴うようになったり潰瘍を形成したりします。

  その場合には、かかりつけ医または近くの皮膚科にお願いして治療をしていただく場合
 もあります。その他には、ワクチン投与から数日間の倦怠感(身体のだるさ)や発熱され
 る方(15人に1人程度)もおられます。また、今までの経験では100人に1人程度ですが、
 強い副作用がおこり得ます。

  その内容は、ワクチンの免疫力増強が非常に強く起こったためにがんの場所が他の臓器
 へ悪影響を及ぼすとか、リンパ浮腫や大腸炎を起こした方がおられました。
 その方々はワクチンを中止することで症状は改善しました。

Q2. ペプチドワクチンと抗がん剤の併用で副作用は、変化しますか?

  副作用の変化は起こらないと思われます。 言い方を変えると、ワクチンは抗がん剤の
 副作用に影響はあたえません。但し、免疫機能が向上することで、何らかの影響を与える
 可能性はあります 。

Q3.ペプチドワクチン療法を行っても抗がん剤の副作用が変わらないということですが、免疫力があがると、感染症が起こりにくいとか口内炎ができにくくなることはありますか?

  我々が行っているテーラーメイドペプチドワクチンは、同じワクチン療法の中で、蛋白
 質を用いたワクチンや同じペプチドを全ての方に投与するワクチンに比べてですが、他の
 免疫力に影響しないという特徴があります。
  患者さん個々人に対して、がんを攻撃するT細胞だけを増やすことが特徴ですので、そ
 の他の免疫機能にはあまり影響しません。 即ち、がんをやっつける細胞だけ増やして、他
 には何も影響しないということが我々の治療法の目指すところなのです。

  一方で、上述しましたように、ワクチン投与によって抗がん剤の副作用が減るというこ
 とはないと考えています。但し、抗がん剤とワクチンの併用により、がんの進行がストッ
 プしたり縮小したりしますと全身状態がよくなり、食欲も増加してきます。 その場合には
 感染症への免疫力も上がってきますので、間接的な効果はある可能性が考えられます。
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 5.ワクチンの効果について
 

Q1. ワクチン投与の効果をどのように評価していますか?

  ペプチドワクチン投与により免疫応答(活性)が増強されます。 その増強された免疫応
 答によって、がんの発育を阻止することがワクチン療法の目的です。
 ワクチン投与で誘導される免疫細胞は、キラーT細胞とヘルパーT細胞という細胞です。
 どちらもがん細胞を殺すことができます。 患者さんの血液中のキラーT細胞やヘルパーT
 細胞の活性が直接見られれば非常に良いのですが、簡単には見られません。 (実際には1
 人分の検査に2〜3週間を要し、しかも大量の血液が必要です。また、操作が複雑で、専門
 家が実施しても再現性が得られない(毎回値が変わる可能性)こともあります。)

  しかし、好都合なことにワクチンで増えたT細胞(特にヘルパーT細胞)は同じくリン
 パ球であるB細胞に、ペプチドに対して抗体を作るように指令します。
 従ってワクチン投与と同時に、T細胞が増えてからやや遅れて抗体(抗ペプチド抗体)が
 誘導されます。 この抗体は安定した分子であり、測定も比較的容易です。しかも抗体上昇
 の程度とキラーT細胞の上昇もある程度相関するということも解っています。

  また抗体が増えると、患者さんの生命予後、実際に患者さんの生存期間が伸びるという
 データを得ています。そこで、キラーT細胞やヘルパーT細胞を直接測定する代わりに抗
 体を測定し、それを免疫活性の指標としています。数値として表しますので、開始前、開
 始後などでその数値を評価していきます。

Q2. ワクチンを含む免疫療法の治療効果は、画像検査で写らないものや手術時に肉眼で見えないものに対して効果が出るイメージがありますが、実際にはどうですか?そして、再発予防の効果はあるでしょうか?

  『本来のがん免疫療法というのは、目にみえないがん細胞を排除することが本来の免疫
 力活用にかなったものです。 一方、進行がんになった人はがん細胞の数が多くなり、免疫
 力のみで排除することは叶いません。

  しかしながら、多勢に無勢ではあるけれども何とか頑張ってある程度がんの発育を抑制
 している状態と考えられます。 進行がんに対する免疫療法はがん細胞を排除する細胞の数
 を増やしてがんが小さくならないまでも、少しでも進行を遅らせようというものです。
  がん細胞数の観点からは、僅か直径1pのがん細胞の塊の中に3億個以上のがん細胞が
 あると言われています。 ということは、我々の今の画像診断では3億個以上にならないと
 がんは見えないのです。

  がん細胞も最初は1個から始まっているので、10万〜20万個程度の集団状態のがん細胞
 をワクチンで活性化した免疫力が排除することが本来の免疫力を活用する良い方法だと思
 います。』と回答してきました。

  しかし、大企業が、がんワクチンをがん細胞が目にみえなくなった肺がん手術後すぐの
 患者さんに対して大規模な臨床試験を実施したところ、必ずしもワクチンのよい効果が得
 られないことが判明しました。

  私どものワクチン外来では、術後の再発予防目的のワクチン投与を希望される場合には
 受付しております。ただし、ワクチンによる術後の再発予防の効果を明らかにするには、
 とても多くの患者さんが長期間にわたり、臨床試験に参加していただく必要があります。
  但し、肝臓がんになりやすいC型肝炎ウイルス感染症のかたに、C型肝炎ウイルスから
 作成したペプチドをつかったテーラーメイドペプチドワクチン臨床試験を小規模ながら実
 施いたしました。その結果、肝臓がんを発症するのを予防する効果が見られました。
 
  従って、将来的には、手術後すぐの患者さんに対しても、再発予防に有効ながんワクチ
 ンが開発されると予想されます。

Q3. ペプチドワクチンを開始するタイミングについて教えてください。

  抗がん剤との併用をお考えの方に対してお答えします。 抗がん剤治療を行うとリンパ
 球数が減りますし、往々にして食欲低下、体力低下などを来してワクチンを投与しても
 免疫活性が上がり辛くなります。

  従って抗がん剤と併用する場合はできるだけ早期にワクチンを抗がん剤と併用されるこ
 とが望まれます。 しかしながら、現時点では当ワクチン療法は「がんに対して効果がある」
 とお墨付きを貰った治療法ではありません。一方で保険適応のある抗がん剤は、科学的根
 拠に基づいて有効と認められた薬です。

  我々の臨床試験は2009年から、まず「標準治療抵抗性のがん患者」を対象に開始しま
 した。「標準治療抵抗性」とは少なくとも初回の抗がん剤治療(=標準治療)を受けて
 芳(かんば)しくなかった患者さんを指します。抗がん剤を使用して効果のあるなしを判
 断してからワクチン治療を併用することでワクチンによる効果も解りやすくなる面もあり
 ますし、薬事承認されている抗がん剤を先にお使いいただくことが適切と判断されます。

  まとめますと、抗がん剤との併用では早いうちからワクチンとの併用が望ましいが、
 最初の抗がん剤治療が終わり、もしくは併用としてワクチンを開始するのが適切と判断
 されます。但し、合併症があり標準治療が受けられない方や、標準治療の抗がん剤がな
 いがんもあります。そのような方は、がんワクチン外来へご相談ください。 

Q4. 実際に、このペプチドワクチンに参加された中で、効果がでて、がんが縮小もしくは消失したというケースもあるのでしょうか?

  2010年に、それまで投与した全がん種に亘る500例の治療効果をまとめたデータでは、
 膀胱がんで1例がんが消えたという症例はあります。 脳腫瘍や子宮がんもほとんどなくな
 ったという症例も1例ずつありました。

  がんの縮小については、世界的に決められた基準で評価して500例中49例でがんの縮小
 が認められました。 ただ、この500人の方はいろいろながん種にまたがっていますので、
 がん種ごとの結果は追々まとめて論文や学会の場で発表していきます。

  また500例以外では、最近では乳がんの方でがんが消失しました。 個別のがん腫につい
 ては別途解析をおこなっています。その後に、テーラーメイドペプチドワクチンの臨床効果
 を調べるための無作為比較試験を前立腺がんと膀胱がんで実施してきました。 この臨床研
 究では、ワクチンをうける方と受けない方の2グループの間での臨床効果を検証する試験
 です。

  その結果、ワクチンを受けた方の生存期間が、2倍近く延長していることが判明しまし
 た。 現在では、国からのお薬としての承認を得るために、国の支援を得て、前立腺がんと
 膠芽腫で、2重盲検無作為比較試験を実施しており、今年中に試験の登録が終了するところ
 まで至っています。

Q5. ワクチン投与を終了した後、どの位効果が持続するのでしょうか?

  あくまで個人差がありますが、一般的なことをお答えします。副作用の欄で投与部位の
 皮膚の硬結がほぼ必発と書きました。 この硬結はこの場所で免疫反応が起こっている証拠
 でもあります。 多くの場合、硬結はワクチン投与5〜7回頃に出現し、その後ワクチン投
 与が終了するまで残ります(時間がたつと小さくはなります)。

  免疫反応と投与部位の硬結は相関している方が多く、ワクチン投与を終了しても約半年
 間はこの硬結が残るので、少なくともこの期間は免疫反応が継続しているとお考えくださ
 い。
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 6.投与中の生活の質について
  

Q1. ワクチン投与されている場合に、生活の質はどうなりますか?

  私どもは、ワクチン治療はその副作用が他の治療法に比べて強くないので生活の質は低
 下させないという報告をしています。 安全面に関しても問題は少ないと考えています。
 もし、あるとすれば久留米までの外来通院で体力消耗による質の低下でしょうか。
 遠方より久留米まで通院される患者さんに、もし久留米市内で具合が悪くなった場合に診
 ていただける連携病院があります。(受診は通常の保険診療で可能です。)

 ご心配な方はワクチン投与開始が決まった時点でお尋ねください。

Q2. 他の医療機関(紹介病院)との連携はどうなっていますか?

  紹介病院の主治医とは主に手紙(診療情報提供書)のやり取りで連絡を取りながら、ワ
 クチン治療を行っていきます。原則的には紹介病院での治療がワクチン治療で大きく制限
 されることはないと考えています。
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 7.ワクチン投与のデメリットについて
  

Q1. 化学療法(抗がん剤治療)とワクチン療法を併用する場合、ワクチンが化学療法の効果を邪魔することはありませんか?

  どの抗がん剤でもその程度の差はありますが、白血球特にリンパ球の減少を起こします。
 減少するのは、主に幼弱な白血球やリンパ球です。 一方テーラーメイドペプチドワクチン
 は、すでに活性化されたリンパ球を増殖させますので、幼弱なリンパ球よりはダメージが
 ありませんので短期間であれば、抗がん剤との併用をむしろ推奨される場合があります。

  また、抗がん剤を減量するか、投与間隔を延長して併用すると、ワクチン効果と抗がん
 剤効果が相加的になることがあるようです。一方で、抗がん剤の通常量を長期間に亘り実
 施された場合には、ワクチンへのダメージは著しいものがあります。 どこまでが短期間で
 どこまでが長期間かについては、個人差がありますので、一概にいえません。

  但し、何か月もリンパ球の減少症が続くとなると、ほとんどの方ではワクチン効果は抑
 制されてきます。このことは活性化されたリンパ球の寿命と大きく関係しています。
  個人差が大変大きいので、同様のご質問を受けたときは、「抗がん剤治療を続けるのが辛
 くなったら、1回くらいは、休んでくださいと」申し上げています。

Q2. その他のワクチン療法のデメリットはありますか?

  デメリットの第一は、ワクチン投与による有害事象(副作用)がゼロではないことです。
 副作用の項で書きましたが投与部に皮膚反応が出ます。 強い場合には潰瘍になったりしま
 す。また7%程度の患者さんでは発熱を来し、39℃の発熱が毎回3日程度起き、それで中止
 になった方がいらっしゃいます。

  その他は、残念ながら今のところ経済的負担をお願いしている点です。久留米まで通院
 する交通費や場合によっては宿泊費も必要となり、かなりの負担となり得ます。一日も早
 く新薬として国に認めてもらい、全国どこでも受けられるように努力してまいります。
 また、遠方からワクチンセンターまでおいでいただくことでがんを患っていらっしゃる患
 者さんの体力低下につながることもデメリットと考えます。

  メリット、デメリットのすべてをお考えになったうえでお申し込みいただくことが肝要
 かと思われます。
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 8.先進医療について
  

Q1. 先進医療とはどういう制度ですか?

  先進医療とは、大学病院など厚生労働大臣が定める施設基準に適合する医療機関で実施
 される先端医療のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものを指します。

  本制度は、平成18年10月1日の健康保険法の一部改正に伴い、高度先進医療から改編され
 開始されています。 医療保険に扱いが異なり、先進医療の特別料金部分は、保険対象外の
 ため、患者が全額負担となるが、通常の保険診療との共通部分(診察、入院、投薬など)
 保険対象のため、一部負担金を支払わなければなりませんが、混合診療が認められた制度
 です。 平成27年2月1日現在で107種類の医療技術等が認定されています。

Q2. 先進医療として承認されたがんワクチンはどんな「がん」にも使えるのですか?

  今回、先進医療として承認されたのは“前立腺がん”のみです。但し、前立腺がんでもか
 なり進行して、ホルモン治療が効かなくなった患者さん、しかも白血球が少ない場合や、
 肝臓や腎臓機能が悪く化学療法が行えない患者さんに限られています。
 条件については⇒こちらをご参照ください。

Q3. 先進医療で承認されたがんワクチン治療を実際に受けるとなると、どのくらいの費用がかかる?

  先進医療に承認されたということは、承認された治療は自費(自由診療)で、その他の
 従来の治療は保険診療で行えるということで、簡単に言うと特別に混合診療を認めるとい
 うことです。

  メリットは、がんワクチン治療以外に要する費用、例えば、レントゲン検査であったり、
 同時に行う治療に要する費用が健康保険の対象となるということにあります。後は、がん
 保険や一般の生命保険の特約によく「先進医療特約」があります。 これに加入されていれ
 ば、全額補償される場合もあるようです。詳しくはご加入の各保険会社にお問い合わせく
 ださい。
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   9.ワクチン投与部反応とPET検査について
  

Q1. PET検査におけるワクチン投与部とがん再発の反応性の違いについて教えてください。H氏(肺がん)はワクチンxx回目投与。「PET検査でワクチン投与部皮膚反応と一致し転移ではないのか」というご質問がありました。

 「ワクチン投与部位のみに一致する陽性所見ではがん転移の可能性は低い」
 ワクチン投与部位のみに一致する陽性所見であれば、がんの転移ではないと判断されます。
 その理由を 以下に述べ ます。もし、ご質問がありましたらワクチンをお受けになる際に私
 どもにお尋ねください。

理由:
  ワクチン投与部の炎症性皮膚反応がみられる場合にPET(FDG−PET)検査をうけま
 すとワクチン投与部の炎症部位が陽性像として検出されるため。


  放射線薬剤を使用したがん診断法の一つにPET(positronemission tomographyの略、
 陽電子放射断層撮影)があります。一般的には、放射線薬剤として放射線を標識したグル
 コース類似 ( FDG2-deoxy-2-[18F]fluolo-D-glucose)を用います。そのためにFDG−
 PETと呼ばれます。がん細胞など増殖盛んな細胞がグルコースなどの糖類を活発に取り込
 む特徴を利用した、がんを測定する優れた検査法として広く普及しております。

  しかし、FDG−PETの集積は、がん組織だけでなく、脳組織や一部の炎症部位でも認め
 られます。従いまして、ワクチン投与部の炎症性皮膚反応がみられる場合にPET(FDG−
 PET)検査をうけますと、ワクチン投与部の炎症部位が陽性像として検出されます。

  これまで、久留米大学がんワクチン外来を受診された患者さんのうち、調査した限り、
 15例のかたがFDG−PETを受 けられていますが、15例全員が投与部皮膚炎症反応部位を
 PET陽性像として医師から指摘されています。

  内訳は、肺がん5例、乳がん5例、胃がん2例、大腸がん1例、婦人科がん2例でした。解
 読された医師のコメントと して、反応性・炎症性の集積として記載されたり、脂肪織炎と
 記載されたり、また、単にFDG集積と記載されております。

  更に、乳がんや肺がん症例では投与部のみではなく近くのリンパ節(腋下リンパ節)
 が陽性像として指摘される場合があります。
その場合には反応性リンパ節炎との記載
 があります。同様に婦人科がんや前立腺がん症例では大腿投与部のみではなく近くのリン
 パ節(大腿リンパ節)が陽性像として指摘
される場合があります。

  これらのワクチン関連の炎症性反応の場合FDG−PETの取り込みは免疫担当細胞(貪食細
 胞、マクロファージ、抗原提示細胞、リンパ球)によってなされます。そのために陽性像と
 して検出されることになります。がん細胞はそこにはもともと存在しないのみならず、も
 し、侵入してきても即座に免疫担当細胞により殺されます 。但し、皮膚がんのかたや皮
 膚転移のある方
ではその近くにワクチン投与いたしますと、がん細胞とがん細胞と闘っ
 ている免疫担当細胞の両者がFDG−PETを取り込みます。

  従いまして、どちらがどれくらい存在しているかを識別するにはその部位の組織検
 査(病理検査)が必要
になります 。ご要望の場合にはワクチンをお受けになる際に私ども
 に申しでてください。

2015年3月3日追記
  最近も同様のご質問がよせられており、同じことを説明させていただいております。
 また、FDG−PETのデータ(光る強さ)を数値化して細胞増殖の強さの指標にしており
 ます。その値はFUV max:10.0とか15.2とかで表示されます。点数が高いほど細胞増
 殖が盛んであることを意味します。

  がん細胞が集合したがん組織の場合には通常5.0以上の場合が殆どです。一方、ワクチ
 ン投与部の炎症性皮膚反応がみられる場合のFUV maxは通常5.0以下
ですので、見
 分けに役立ちます。