久留米大学医学部皮膚科学教室は、1928年8月に皮膚泌尿器科学教室として開設され、約83年の歴史を持っています。1954年12月に皮膚科学教室と泌尿器科学教室とに各々分離独立しました。皮膚科学教室の初代主任教授には奥野勇喜が就任し、以後、占部治邦、皆見紀久男、笹井陽一郎、橋本隆と続いています。2012年4月1日現在、教授橋本隆、名嘉真武国准教授、古村南夫准教授、大畑千佳准教授、辛島正志講師、大日輝記講師、濱田尚宏講師、小野文武講師、石井文人講師を始め、教室員総員41名、教室秘書8名、研究補助員3名、ポスドク4名、大学院生4名で活動中です。
1996年5月に、私が慶応義塾大学から皮膚科学教室の第5代目教授として赴任した後、研究としては、各種の免疫学的、生化学的また分子生物学的手法を用いた自己免疫性水疱症の抗原解析を中心として行われ、国内外の多くの施設から抗原解析の依頼を受けており、多く関連論文が英文雑誌に発表されています。このように久留米大学皮膚科は各種の自己免疫性疾患の研究と診療のメッカと考えられています。 また、分子生物学的手法を用いて、さまざまな表皮の遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子を検出しています。さらに、免疫電顕を用いた自己免疫性疾患の自己抗原の微小局在、共焦点レーザー顕微鏡を用いプラキンファミリーとケラチン中間径線維の関連の研究、皮膚アレルギー、再生医療、毛髪研究、iPS細胞など、幅広い研究を行っています。
学会活動としては、国外の学会としてはSID学会、ESDR学会などに参加し、国内では、日本皮膚科学会総会、 日本研究皮膚科学会、日本皮膚科学会西部支部学術大会 を初めとした多くの学会に参加しています。また、第56回日本皮膚科学会西部支部学術大会を主催したことを始め、表皮細胞研究会、分子皮膚科学フォーラム、水疱症研究会、九州基礎皮膚科研究会を主催しました。 また、2011年10月15-16日には水疱症研究会を開催することになっています。
最近の15年間に発表された英文論文は約400編あまりであり、N Eng J Med, PNAS, J Cell Biol, J Clin Invest, PNAS, Am J Pathol, J Pathol, PLoS One, J Invest Dermatol をはじめ、多くのハイレベルの欧米雑誌に掲載されています。 文部科学省科学研修補助金には、最近10年間、私は基盤研究B、萌芽的研究、海外共同研究を、また、そのほかの教室員は基盤研究C、若手研究を中心にコンスタントに採択されています。また、私は13年間、厚生労働省の特定疾患稀少難治性皮膚疾患調査研究班の班員として研究費の補助を受けています。さらに平成21年度から5年間の文部科学省戦略的研究基盤事業、3年間の厚生労働省科学研究費、大学事業に選定され、今後の研究の発展が期待されます。
最近15年間の海外への留学は8名で、米国に4名、英国に3名、ドイツに1名が国外留学しました。 また、大学院生は11人を数え、このうち6名が甲号の医学博士の学位を取得しました。 そのほか、20名あまりが、学内外の施設に国内留学し、そのサブスペシャリティを磨いて、教室の発展を支えています。
診療においては、一般の皮膚疾患の診療に加えて、特殊外来として、自己免疫性水疱症、角化症、先天性皮膚疾患、 膠原病、ウイルス性皮膚疾患、皮膚リンパ腫、真菌症、循環障害性皮膚疾患、脱毛症、パッチテストを主体とするアレルギー疾患、悪性腫瘍、各種のレーザーの診療を行っています。 入院患者では、多くの良性、悪性皮膚腫瘍の患者に対して、各種の手術療法や化学療法を行っています。 重症の自己免疫性水疱症には大量ガンマグロブリン静注療法やインターフェロンガンマ療法などの各種の補助療法を行っています。尋常性乾癬や菌状息肉症には各種の光線療法を行っています。そのほか、多くの重症皮膚疾患を治療しています。
現在、教育関連病院として、大牟田市立病院、社会保険田川病院、公立八女総合病院、 聖マリア病院、朝倉医師会病院に8名の教室員を派遣し、地域医療に貢献しています。
教育では、第4学年の皮膚科の系統講義に加えて、各学年の講義を行っています。第1学年と第3学年では、チュートリアル教育を行っています。第5、6学年では、クリニカルクラークシップを行っており、卒後の前期研修医の研修も行っています。また、後期研修医の教育もすべての面で非常に充実しています。現在では、5年間の研修後、ほとんどの医局員が皮膚科専門医を取得しています。また、医局員の学位取得についても積極的に取り組んでいます。さらに、教室員と一般開業医の先生の研修の目的で、年に4回の筑後皮膚科医会を開催しています。
以上のように、久留米大学医学部皮膚科学教室では、多くのスタッフの強い指導のもと、教育、研究、臨床に充実した毎日を過ごしています。このような楽しい久留米大学医学部皮膚科学教室に、多くの新入教室員を迎えて、皮膚科学のあらゆる面でますます発展していくことを願っています。
橋本隆教授の久留米大学皮膚科同門会誌原稿