当科は1985年に内分泌代謝疾患の専門内科として創設されて以来、内分泌代謝疾患の教育・研究・診療に当たってきました。内分泌疾患、代謝疾患全般を守備範囲としますが、とりわけ力を注いできたのは一貫して糖尿病です。開講時すでに増加の兆しのあった糖尿病患者は800万人を超え、さらに毎年20万人のペースで増え続けています。糖尿病の克服は、我々に突きつけられた最大の課題です。
当科では、遺伝子レベル、細胞レベル、あるいは実験動物レベルの基礎的研究により、新たな予防法・治療法の開発を目指すとともに、地域における糖尿病診療のセンターとして、病診・病病連携に基づくチーム医療を推進してきました。「清涼飲料水ケトーシス」という新しい病態が、当科で発見され命名されたことをご存知の方も多いと思います。
内分泌疾患の領域では、患者数の多い甲状腺疾患を中心とし、経皮的エタノール注入療法や、バセドウ眼症に対するステロイド大量療法などで、優れた成果をあげています。また、大学病院としての性格上、診断困難な先天代謝異常や多彩な内分泌疾患が数多く紹介されてきますが、遺伝子解析を含む最新の技術を駆使して、的確な診断・治療を行うよう努めています。
診療に最善を尽くすべきことは言を待ちませんが、私は大学病院の医局の最大の使命は、次世代を担う優れた医師を育てることにあると信じています。実際、当科ほどセミナー、レクチャー、カンファレンスが充実している科は少ないでしょう。内分泌代謝内科学は専門性の高い分野であり、中途半端な知識は通用しません。糖尿病学会、内分泌学会の認定教育施設として、各分野の指導医の下でカリキュラムに沿った研修を受けられるのは当然のことですが、医療の現場で貢献できる真の専門医が育つのは、難しい症例との真剣勝負を通じてしかありえません。
医師としての人生の早い時期に、大学においてある期間を過ごすことは、大きく成長するための糧です。臨床上の疑問点を研究的手法で深めることができるのは大学ならではの強みであり、研究を通じて得たサイエンスマインドは、一生の宝となるでしょう。研究を深めたい希望があれば、大学院への道も開けています。これまで多くの医師が、糖尿病あるいは甲状腺疾患に関する研究で学位を取得してきました。研修であれ、研究であれ、多くの若い医師が、当科において、持てる能力を思う存分開花させることを期待しています。
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