門脈圧亢進症グループは、主に肝硬変症に起因する食道・胃静脈瘤に対する治療・研究を行っています。本邦において、食道・胃静脈瘤治療は出血する前に予防的治療を行うことが一般的です。それゆえ、予防的治療によりadverse effectとならないよう、正確で確実な治療技術を身につけるようにしています。
また、術前の詳細な血行動態評価も大切であります。治療は内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)、内視鏡的硬化療法(EIS)、シアノアクリレート組織接着剤注入法などの内視鏡的治療が主でありますが、特徴としては、内視鏡的治療に加え、IVR治療も消化器内科で治療を行えることです。ゆえに、静脈瘤に対する総合的な治療戦略がたてられます。特に胃孤立性静脈瘤や肝性脳症(シャント脳症)に対するバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)は約180症例と本邦においては、有数の症例数を誇ります。現在、B-RTOで門脈大循環短絡路が閉鎖させることにより、生体に与える影響などを検討しています。部分的脾動脈塞栓術(PSE)も、今年4月より肝癌グループのIVR班と共同で治療を行うようになりました。また、いよいよ当院でも肝移植が始まります。肝移植において門脈圧亢進症の観点からも研究を行う予定にしています。
スタッフ:中原慶太、渡辺靖友、松尾 健、向笠道太、住江博明、吉田 光
上部消化管腫瘍班の大いなる目標は、胃がんや食道がんに対する臨床画像形態診断と内視鏡治療のプロフェッショナルを目指すことです。理想的なプロフェッショナルとは、職に対する高い心構えや誇りを持ち、卓越した知識・技能・態度をすべて兼ね備えているものであり、そのプロフェッショナルとして最良の医療を患者さんに提供したいと考えているからです。
具体的な臨床研修内容は、①スクリーニング検査、②術前精密検査、③内視鏡治療、④術後組織所見との対比検討の4項目に集約されます。
①スクリーニング検査では、救命可能ながんや内視鏡治療で完治可能な早期がんをより的確に発見することを目指します。近年、消化管内視鏡の全盛時代ではありますが、当科の特徴は消化管疾患診断の両輪であるX線検査にも力を注いでいる点です。内視鏡とX線はそれぞれ利点と欠点があり、互いを補完する検査技術の精進が不可欠と思われることから、一般臨床における内視鏡検査は勿論、胃がん検診や人間ドックで頻用されているX線検査の撮影技術および読影も並行してトレーニングします。この点に関しては、院内外を問わず幅広い教育活動として定期的な勉強会(はぜの木会)を毎月第二土日に開催しています。この会は、病理組織所見を基本としたがんの形態診断学や、NPO団体・検診学会で推奨されている新・胃X線撮影法の撮影技術の修得による画像精度・読影精度向上を目標としています。
②術前精密検査では、がんに対するより正確な診断(肉眼型、組織型などの質診断、範囲・深達度診断)と治療方針決定のために画像精度のきわめて高い検査を目指します。最新鋭の高画質デジタル機器を採用したX線検査(フラットパネル)と通常内視鏡検査を基本とした上でのNBI拡大内視鏡(Image Enhanced Endoscopy)や超音波内視鏡検査まで多方面に渡る幅広い検査技術と読影のトレーニングを行っています。
③内視鏡治療では、QOL向上のために早期がんに対する安全で確実な治療を目指します。ポリペクトミー、内視鏡的止血術、内視鏡的焼灼術(APC)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を基本手技とし、高度な技術を要する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のトレーニングを行っています。当科の特徴は、内視鏡治療を行った術者自身が内視鏡的切除標本の肉眼所見の詳細な写真撮影や切り出しを行い、病理医と連携しながら組織プレパラートの検鏡まで行っている点です。
④術後組織所見との対比検討では、前述した内視鏡治療例のみならず、外科切除例を含めて術前画像診断を行った症例の詳細な遡及的検証を逐次行います。自分が撮影した画像は適切であったか? 術前診断は適切であったのか? 画像上現れていた所見の組織学的な成り立ちはどうであったか? 画像所見をどのように解釈すればよかったのか? どのような画像が必要であったか? など日常臨床において生じる種々の疑問点に対し、組織所見との対比検討を日々徹底的に行うことによって、より正確な診断・治療の精度向上を目指します。この詳細な症例検討の成果は、消化器関連の先生方や紹介医へのフィードバックとして、前述したはぜの木会や久留米消化器病研究会、筑後胃研究会、九州胃と腸大会、早期胃癌研究会、関連学会などで症例報告を逐次行っています。
日常業務の中で、以上述べた4項目を確実にこなしていくことはなかなか容易でありませんが、少しずつコツコツと積み重ねていき臨床・基礎研究に繋げていければと思います。
スタッフ:岡部義信、石田祐介
、杉山 元、牛島知之、佐々木 優
当グループでは、胆道(胆管・胆嚢)、膵臓、十二指腸(主として乳頭部)の良性疾患・悪性疾患の診断と治療をおこなっています。胆道膵臓領域の診断には、腹部エコー、CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)などによる高度な画像診断と病理診断、また治療には内科的治療、外科的治療、さらには集学的治療が要求されます。よって、診療内容が非常に多岐にわたるため、当院では、肝胆膵外科・放射線科・病理と常に密な連携を計り、正確な診療を目指しています。他方、患者様やご家族の十分な理解と合意を最も尊重し医療の提供に心がけています。
〔内視鏡的診断と治療〕
EUS及びERCP関連手技は、胆道膵臓領域の診療に欠かせない手技として位置付けられています。一方で、消化器内視鏡領域では最も偶発症の多い手技とされており、当院では積極的に偶発症予防に努めています。
〔主な胆膵内視鏡関連手技〕
EUS関連(年間約300例)
・管腔内超音波(IDUS)
・EUSガイド下穿刺術(EUS-FNA)
・EUSガイド下ドレナージ術
ERCP関連(年間500~600例)
・内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)
・内視鏡的胆道ドレナージ術
・内視鏡的胆道ステンティング、膵管ステンティング
・内視鏡的結石除去術
・内視鏡的乳頭切除術
・経口胆道鏡、経口膵管鏡
など
スタッフ:鶴田 修、河野弘志、長谷川 申、
有田桂子、前山泰彦、野田哲裕、長田修一郎
<医療をご希望される皆様方へ>
私達のグループでは下部消化管の腫瘍病変を中心に、診断・治療を行っています。常時4-5名の内視鏡医が、毎週火曜から木曜までの週3日、年間約2500件の検査を行っています。検査は外来で行うことが可能で、症状の原因を調べるものやポリープの治療方針を決めるための精密検査などが主体です。治療に関しては、年間約200件の治療を行っています。治療は内視鏡を用いたもので、スネアというワイヤーを用いて切除する方法(ポリペクトミー、EMR)と電気メスを使用して病変を腸壁から剥離していく方法(ESD)の2種類があります。治療に際して安全を期すため、基本的には約1週間の入院を必要とします。
患者様にとってよりよい検査・治療となるようスタッフ一同努力をしてまいります。
<当科での研修をご希望される医師の皆様方へ>
私たちのグループは当院消化器病センター内視鏡診療部門教授である鶴田 修をチーフに3-4名のスタッフで大腸腫瘍の診療に携わっています。年間約2500件の検査および約200件の治療を行っており、検査内容は下記のような手法を用いた大腸病変の質および深達度診断が中心で、その他にも炎症性腸疾患やscreening目的の検査も行っています。治療は年間約200件で、polypectomy、EMR(endoscopic mucosal resection)、EPMR(endoscopic piecemeal mucosal resection)、ESD(endoscopic submucosal dissection)を行っています。また週1回内視鏡および外科手術例の症例検討を行っており、消化管グループ全体として週2回、内視鏡検査症例のカンファランスを行っています。
大腸内視鏡検査の経験のない方のトレーニングシステムは、まず上部消化管内視鏡検査の経験を積んだ後に、京都科学社製の大腸内視鏡トレーニングモデルを使用し、その後実際に患者様への検査を行っています。
大腸疾患に興味のある方は、是非一度見学にお越し下さい。
【特殊検査】
・拡大内視鏡を用いたpit pattern診断
・AFI (Auto fluorescence imaging)
・NBI (Narrow band imaging)
・超音波内視鏡
スタッフ:光山慶一、竹田津英稔、吉岡慎一郎、長山幸路
桑木光太郎、山崎 博、小林哲平
炎症性腸疾患班では近年増加傾向にある難病指定の潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット
病などを中心にその病態の解明、治療法の研究に携わっています。
外来、病棟では重症から軽症まで地域有数の症例数をあつかっています。診断・治療を消化
器内科だけではなく、外科・小児科医師と連携をはかり、迅速の対応をはかるべる努力をしてい
ます。近年では、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法、クローン病に対するインフリキシマブ
投与など、今までの治療概念を根底から覆す治療法が次々と世に出てきています。さらに、大学
病院の特性上、種々の臨床治験も行われ、最新の治療を提供すべく日々の診療を行っています。
基礎実験の分野では、種々の実験モデルを作成し、未だ原因不明な炎症性腸疾患の病態解明
ではなく、将来の治療への試金石となるような実験を行っています。その成果は、国内外の学会
発表、英文論文への発表という形で情報を発信しています。
基礎から臨床へ、臨床から基礎へ。双方向の視点から日々の臨床、研究を行っています。

