○久留米大学遺伝子組換え実験指針

 

T 用語の意義

1.遺伝子組換え実験:研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(以下「法」という。)第2条第2項第1号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物(以下「組換え核酸」という。)を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。

2.微生物使用実験:遺伝子組換え実験のうち、微生物[菌界に属する生物(きのこ類を除く)、原生生物界に属する生物、原核生物界に属する生物、ウイルス及びウイロイドをいう。以下同じ。]である遺伝子組換え生物等に係るもの(次号から第5号までに掲げるものを除く。)をいう。

3.大量培養実験:遺伝子組換え実験のうち、微生物である遺伝子組換え生物等の使用等であって、培養又は発酵の用に供する設備(設備の総容量が20リットルを超えるものに限る。以下「培養設備等」という。)を用いるものをいう。

4.動物使用実験:遺伝子組換え実験のうち、動物(動物界に属する生物をいう。以下同じ。)である遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物等を保有しているものを除く。)に係るもの(以下「動物作成実験」という。)及び動物により保有されている遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「動物接種実験」という。)をいう。

5.植物等使用実験:遺伝子組換え実験のうち、植物(植物界に属する生物をいう。以下同じ。)である遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物等を保有しているものを除く。)に係るもの(以下「植物作成実験」という。)、きのこ類である遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「きのこ作成実験」という。)及び植物により保有されている遺伝子組換え生物等に係るもの(以下「植物接種実験」という。)をいう。

6.細胞融合実験:研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、法第2条第2項第2号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。

7.宿主:組換え核酸が移入される生物をいう。

8.ベクター:組換え核酸のうち、移入された宿主内で当該組換え核酸の全部又は一部を複製させるものをいう。

9.供与核酸:組換え核酸のうち、ベクター以外のものをいう。

10.核酸供与体:供与核酸が由来する生物(ヒトを含む。)をいう。

11.実験分類:宿主又は核酸供与体について定められる分類であって、遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置を生物多様性影響が生ずる可能性のある拡散の程度に応じて定める際に用いられるものをいう。

12.同定済核酸:供与核酸であって、次のイからハまでのいずれかに掲げるものを   いう。

イ 遺伝子の塩基配列に基づき、当該供与核酸又は蛋白質その他の当該供与核酸からの生成物の機能が科学的知見に照らし推定されるもの。

ロ 当該供与核酸が移入される宿主と同一の分類学上の種に属する生物の核酸又は自然条件において当該宿主の属する分類学上の種との間で核酸を交換する種に属する生物の核酸(当該宿主がウイルス又はウイロイドである場合を除く。)

ハ 自然条件において当該供与核酸が移入される宿主との間で核酸を交換するウイルス又はウイロイドの核酸(当該宿主がウイルス又はウイロイドである場合に限る。)

13認定宿主ベクター系特殊な培養条件下以外での生存率が低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が低いベクターとの組合せであって、文部科学大臣が定めるものをいう。

14実験従事者遺伝子組換え実験の実施に携わる者をいう。

15.実験責任者:実験従事者のうち個々の実験計画の遂行について責任を負う者をいう。

16安全委員会遺伝子組換え実験を実施する機関(以下「実験実施機関」という。)の長(本学の場合は学長とする。)の諮問に応じて遺伝子組換え実験の安全確保に関する事項について調査審議するために当該実験実施機関に置かれる組織をいう。

17安全主任者遺伝子組換え実験の安全確保に関して実験実施機関の長を補佐する者をいう。

 

U 第一種使用等と第二種使用等について

イ 第一種使用等とは、遺伝子組換え生物等の拡散を防止しないで行う使用等である。

ロ 第二種使用等とは遺伝子組換え生物等の拡散を防止しつつ行う使用等である。

第一種使用等は一部の場合を除き文部科学大臣等の承認を受ける必要がある。

 

第一種使用等実験開始予定の方は、安全主任にお問い合わせ頂くか又は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」のホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htmをご参照下さい。

 

V 第二種使用等の拡散防止措置の区分及び内容

 第二種使用等については、法第12条、第13条の規定等により、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年文部科学省・環境省令第1号。以下「二種省令」という。)により定められている場合にあっては、使用等の間、当該拡散防止措置を執り、あらかじめ学長への届出(機関届出実験)あるいは学長の承認(機関承認実験)が必要である。また、当該拡散防止措置が定められていない場合にあっては、あらかじめ文部科学大臣の確認を受けた拡散防止措置を執ること等が必要である(大臣確認実験)。

 二種省令では、使用等の区分(実験、保管及び運搬)及び実験の種類(微生物使用実験、動物使用実験等)に応じて執るべき拡散防止措置が定められている。保管及び運搬に当たって執るべき拡散防止措置については、二種省令により定められているため、保管及び運搬に当たり、文部科学大臣の確認の手続きは必要ない。

(第二種使用等大臣確認実験開始予定の方は安全主任にご連絡下さい。)

 

【1】 実験分類

実験分類の名称は次の表の右欄に、各実験分類に属する宿主又は核酸供与体は同表の左欄に、それぞれ定めるとおりとする。

1 微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、()乳綱(ヒトを含む。)及び鳥綱に属する動物(以下「哺乳動物等」という。)に対する病原性がないものであって、文部科学大臣が定めるもの

クラス1

2 微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、哺乳動物等に対する病原性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの

 

クラス2

3 微生物及びきのこ類のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ、伝播性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの

 

クラス3

4 微生物のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ、伝播性が高いものであって、文部科学大臣が定めるもの

 

クラス4

5 動物(ヒトを含み、寄生虫を除く。)及び植物

 

 

クラス1

実験分類が分かられない方は、安全主任にお問い合わせ頂くか又は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」のホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htmをご参照下さい。

 


【2】 遺伝子組換え実験に係る拡散防止措置の区分及び内容

遺伝子組換え実験(別表第1に掲げるものを除く。次条において同じ。)に係る拡散防止措置の区分及び内容は、次の各号に掲げる遺伝子組換え実験の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。

1 微生物使用実験

拡散防止措置の区分

拡散防止措置の内容

1 P1レベル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、実験室が、通常の生物の実験室又はこれと同じ程度に設計され、かつ、設備が設けられていること。

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)遺伝子組換え生物等を含む廃棄物(廃液を含む。以下同じ。)については、廃棄の前に遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

(2)遺伝子組換え生物等が付着した設備、機器及び器具については、廃棄又は再使用(これらの前に洗浄を行う場合にあっては洗浄。以下「廃棄等」という。)の前に遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

(3)実験台については、その日の実験の終了後に、及び遺伝子組換え生物等が付着したときは直ちに遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

(4)実験室の扉については、閉じておくこと(実験室に出入りするときを除く。)。

(5)実験室の窓等については、昆虫等の侵入を防ぐため、閉鎖等の必要な措置を講ずること。

(6)すべての操作において、エアロゾルの発生を最小限にとどめること。

(7)実験室以外の場所で遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講じようとするとき、その他の実験の過程において遺伝子組換え生物等を実験室から持ち出すときは、遺伝子組換え生物等が漏出、その他拡散しない構造の容器に入れること。

(8)遺伝子組換え生物等を取り扱う者に当該遺伝子組換え生物等が付着し又は感染することを防止するため、遺伝子組換え生物等の取扱い後における手洗い等の必要な措置を講ずること。

(9)実験の内容を知らない者が、みだりに実験室に立ち入らないための措置を講ずること。


 

2 P2レベル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、次に掲げる要件を満たすこと。

(1)前号イに掲げる要件

(2)実験室に研究用安全キャビネットが設けられていること(ただしエアロゾルが生じる操作をする場合に限る。)。

(3)遺伝子組換え生物等を不活化するために高圧滅菌器を用いる場合には、実験室のある建物内に高圧滅菌器が設けられていること。

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)前号ロ(1)から(9)までに掲げる事項

(2)エアロゾルが生じやすい操作をするときは、研究用安全キャビネットを用いることとし、当該研究用安全キャビネットについては、その日の実験の終了後に、及び遺伝子組換え生物等が付着したときは直ちに遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

(3)実験室の入口及び遺伝子組換え生物等を実験の過程において保管する設備(以下「保管設備」という。)に「P2レベル実験中」と表示すること。

(4)執るべき拡散防止措置がP1レベル、P1Aレベル若しくはP1Pレベルの実験を同じ実験室で同時に行うときは、これらの実験の区域を明確に設定すること、又はそれぞれP2レベル、P2Aレベル若しくはP2Pレベルの拡散防止措置を執ること。

3 P3レベル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、次の用件を満たすこと。

(1)第1号イに掲げる要件。

(2)実験室の出入口に前室(自動的に閉まる構造の扉が前後に設けられ、及び更衣をすることができる広さのものに限る。)が設けられていること。

(3)実験室の床、壁及び天井の表面については、容易に水洗及び燻蒸をすることができる構造であり、並びに実験室又は実験区画(実験室及び前室からなる区画をいう。以下同じ。)については、昆虫等の侵入を防ぎ、及び容易に燻蒸をすることができるよう、密閉状態が維持される構造であること。

(4)実験室又は実験区画の主な出口に、足若しくは肘で又は自動で操作することができる手洗い設備が設けられていること。

(5)空気が実験室の出入口から実験室の内側へ流れていくように設計された給排気設備が設けられていること。

(6)実験室の内側へ流れていくための給排気設備が空気が実験室の出入口から設けられていること。

(7)排気設備については、実験室からの排気(ヘパフィルターでろ過された排気(研究用安全キャビネットからの排気を含む。)を除く。)が実験室及び実験室のある建物内の他の部屋に再循環されない設計であること。

(8)排水設備については、実験室からの排水が遺伝子組換え生物等を不活化するための措置が講じられた後で排出される設計であること。

(9)実験室に研究用安全キャビネットが設けられていること(ただしエアロゾルが生じる操作をする場合に限る。)。

10)研究用安全キャビネットを設ける場合には、定期検査、ヘパフィルターの交換及びホルムアルデヒドによる燻蒸が、当該研究用安全キャビネットを移動しないで実施することができるよう考慮されていること。

11)実験室内に高圧滅菌器が設けられていること。

12)真空吸引ポンプを用いる場合には、当該実験室専用とされ、かつ、消毒液を用いた捕捉装置が設けられていること。

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)第1号ロ(1)から(4)まで、(6)から(9)まで及び前号ロ(2)に掲げる事項

(2)実験室においては、長袖で前の開かない作業衣、保護履物、保護帽子、保護眼鏡及び保護手袋(以下「作業衣等」という。)を着用すること。

(3)作業衣等については、廃棄等の前に遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

(4)前室の前後に設けられている扉については、両方を同時に開けないこと。

(5)エアロゾルが生じやすい操作をするときは、実験室に出入りをしないこと。

(6)実験室の入口及び保管設備に、「P3レベル実験中」と表示すること。

(7)執るべき拡散防止措置のレベルがP3レベル、P3Aレベル又はP3Pレベルより低い実験を同じ実験室で同時に行うときは、それぞれP3レベル、P3Aレベル又はP3Pレベルの拡散防止措置を執ること。

 

 

2 大量培養実験 大量培養実験開始予定の方は、安全主任にお問い合わせ頂くか又は 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の  ホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htmをご参照下さい。

 

3 動物使用実験 

拡散防止措置の区分

拡散防止措置の内容

1 P1Aレベル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、次の要件を満たすこと。

(1)実験室については、通常の動物の飼育室又はこれと同じ程度に設計され、かつ、設備が設けられていること。

(2)実験室の出入口、窓その他の動物である遺伝子組換え生物等及び遺伝子組換え生物等を保有させている動物(以下「組換え動物等」という。)の逃亡の経路となる箇所に、当該組換え動物等の習性に応じた逃亡防止のための設備、機器又は器具が設けられていること。

(3)組換え動物等のふん尿等の中に遺伝子組換え生物等が含まれる場合には、当該ふん尿等を回収するために必要な設備、機器若しくは器具が設けられていること又は実験室の床が当該ふん尿等を回収することができるよう考慮された構造であること。

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)別表第1第1号ロ(1)から(6)まで、(8)及び(9)に掲げる事項

(2)実験室以外の場所で遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講じようとする時その他の実験の過程において組換え動物等を実験室から持ち出すときは、遺伝子組換え生物等が逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。

(3)組換え動物等を、移入した組換え核酸の種類又は保有させている遺伝子組換え生物等の種類ごとに識別することができる措置を講ずること。

(4)実験室の入口に、「組換え動物等飼育中」と表示すること。

2 P2Aレベル

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、次の要件を満たすこと。

別表第一第二号イ(2)及び(3)に掲げる要件

前号イ(1)から(3)までに掲げる要件

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)別表第1第1号ロ(1)から(6)まで、(8)及び(9)並びに第2号ロ(2)及び(4)に掲げる事項。

(2)前号ロ(2)及び(3)に掲げる事項

(3)実験室の入口に、「組換え動物等飼育中(P2)」と表示すること。

3 P3Aレベル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、次の要件を満たすこと。

別表第1第2号イ(2)並びに第3号イ(2)から(10)までに掲げる要件

第1号イ(1)から(3)までに掲げる要件

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

(1)別表第1第1号ロ(1)から(4)まで、(6)、(8)及び(9)、第2号ロ(2)並びに第3号ロ(2)から(5)まで及び(7)に掲げる事項

(2)第1号ロ(2)及び(3)に掲げる事項

(3)実験室の入口に、「組換え動物等飼育中(P3)」と表示すること。

4 特定飼育区画

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ 施設等について、組換え動物等を飼育する区画(以下「飼育区画」という。)は、組換え動物等の習性に応じた逃亡防止のための設備が二重に設けられていること。

ロ 遺伝子組換え実験の実施に当たり、次に掲げる事項を遵守すること。

別表第1第1号ロ(1)、(2)、(4)、(8)及び(9)に掲げる事項。この場合において、これらの規定中「実験室」とあるのは「飼育区画」と読み替えるものとする。

第1号ロ(2)から(4)までに掲げる事項。この場合において、これらの規定中「実験室」とあるのは「飼育区画」と読みかえるものとする。

 

4 植物等使用実験、細胞融合実験 植物等使用実験及び細胞融合実験開始予定の方は、安全主任にお問い合わせ頂くか又は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」のホームページ

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htmをご参照下さい。

 

別表第1

1 微生物使用実験のうち次のイからチまでに掲げる遺伝子組換え生物等に係るもの。

イ 宿主又は核酸供与体のいずれかが実験分類の表各号の左欄に掲げるもの以外のものである遺伝子組換え生物等[認定宿主ベクター系を用いた遺伝子組換え生物等であって、核酸供与体がウイルス及びウイロイド以外の生物(ヒトを含む。)であるもののうち、供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定されるものを除く。]

ロ 宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のいずれかがクラス4である遺伝子組換え生物等

ハ 宿主の実験分類がクラス3である遺伝子組換え生物等

ニ 認定宿主ベクター系を用いていない遺伝子組換え生物等であって、核酸供与体の実験分類がクラス3であるもののうち、供与核酸が同定済核酸でないもの又は同定済核酸であって哺乳動物等に対する病原性若しくは伝達性に関係し、かつ、その特性により宿主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めることが科学的知見に照らし推定されるもの。

ホ 宿主の実験分類がクラス2である遺伝子組換え生物等(ウイルス又はウイロイドであるものを除く。)であって、供与核酸が薬剤耐性遺伝子(哺乳動物等が当該遺伝子組換え生物等に感染した場合に当該遺伝子組換え生物等に起因する感染症の治療が困難となる性質を当該遺伝子組換え生物等に対し付与するものに限る。)を含むもの。

ヘ 自立的な増殖力及び感染力を保持したウイルス又はウイロイド(文部科学大臣が定めるものを除く。)である遺伝子組換え生物等であって、その使用等を通じて増殖するもの。

ト 供与核酸が、哺乳動物等に対する半数致死量が体重1キログラム当たり100マイクログラム以下である蛋白性毒素に係る遺伝子を含む遺伝子組換え生物等(宿主が大腸菌である認定宿主ベクター系を用いた遺伝子組換え生物等であって、供与核酸が哺乳動物等に対する半数致死量が体重1キログラム当たり100ナノグラムを超える蛋白性毒素に係る遺伝子を含むものを除く。)

チ イからトまでに掲げるもののほか、文部科学大臣が定めるもの。

2 動物使用実験のうち次のイからニまでに掲げる遺伝子組換え生物等に係るもの。

イ 第1号イからトまでに掲げる遺伝子組換え生物等

ロ 宿主が動物である遺伝子組換え生物等であって、供与核酸が哺乳動物等に対する病原性がある微生物の感染を引き起こす受容体(宿主と同一の分類学上の種に属する生物が有していないものに限る。)を宿主に対し付与する遺伝子を含むもの。

ハ 第5条第3号イからハまでに掲げる遺伝子組換え生物等であって、その使用等においては特定飼育区画の拡散防止措置を執るもの。

ニ イからハまでに掲げるもののほか、文部科学大臣が定めるもの。

 

【3】 遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置

遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置は、次の各号に掲げる遺伝子組換え実験の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則平成15年財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省令第1号。以下「施行規則」という。第16条第1号、第2号及び第4号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。

1 微生物使用実験 次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。

イ 次のロからニまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等

宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち、実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方がクラス1、クラス2又はクラス3である場合に、それぞれP1レベル、P2レベル又はP3レベルの拡散防止措置とすること。

ロ 特定認定宿主ベクター系(認定宿主ベクター系のうち、特殊な培養条件下以外での生存率が極めて低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が極めて低いベクターとの組合せであって、文部科学大臣が定めるものをいう。以下同じ。)を用いた遺伝子組換え生物等(ハに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)

核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあってはP1レベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあってはP2レベルの拡散防止措置とすること。

ハ 供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定される遺伝子組換え生物等

宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれP1レベル又はP2レベルの拡散防止措置とすること。

ニ 認定宿主ベクター系を用いていない遺伝子組換え生物等であって、供与核酸が哺乳動物等に対する病原性又は伝達性に関係し、かつ、その特性により宿主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めることが科学的知見に照らし推定されるもの

宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち、実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれP2レベル又はP3レベルの拡散防止措置とすること。

2 大量培養実験 大量培養実験開始予定の方は安全主任にお問い合わせ下さい。

3 動物使用実験 次に掲げる遺伝子組換え生物等の区分に応じ、それぞれ次に定めるところによる。

イ 次のロからホまでに掲げる遺伝子組換え生物等以外の遺伝子組換え生物等

動物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、動物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(動物により保有されているものに限る。)にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1、クラス2又はクラス3である場合に、それぞれP1Aレベル、P2Aレベル又はP3Aレベルの拡散防止措置とすること。

ロ 第1号ロに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)

核酸供与体の実験分類がクラス1及びクラス2である場合にあってはP1Aレベルの拡散防止措置とし、核酸供与体の実験分類がクラス3である場合にあってはP2Aレベルの拡散防止措置とすること。

ハ 第1号ハに掲げる遺伝子組換え生物等(ホに掲げる遺伝子組換え生物等を除く。)

宿主の実験分類がクラス1又はクラス2である場合に、それぞれP1Aレベル又はP2Aレベルの拡散防止措置とすること。

ニ 第1号ニに掲げる遺伝子組換え生物等

動物作成実験に係る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類が、動物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(動物に保有されているものに限る。)にあっては宿主の実験分類又は核酸供与体の実験分類のうち実験分類の名称中の数のいずれか小さくない方が、クラス1又はクラス2である場合に、それぞれP2Aレベル又はP3Aレベルの拡散防止措置とすること。

ホ 次の(1)から(4)までに掲げる要件のいずれにも該当する遺伝子組換え生物等は特定飼育区画の拡散防止措置とすること

(1) 供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しないことが科学的知見に照らし推定されること。

(2) 供与核酸が宿主の染色体の核酸に組み込まれており、かつ、転移因子を含まないこと。

(3) 逃亡に関係する運動能力が宿主と比較して増大しないことが科学的知見に照らし推定されること。

(4) 微生物である遺伝子組換え生物等を保有していない動物であること。

4 植物等使用実験 植物等使用実験開始予定の方は安全主任にお問い合わせ頂くか「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の ホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htmをご参照下さい。

 

認定宿主ベクター系

区 分

名    称

宿主及びベクターの組合せ

B1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)EK1

 

 

 

E. coli K12株又はこの誘導体を宿主とし、プラスミド又はバクテリオファージの核酸であって、接合等により宿主以外の細菌に伝達されないものをベクターとするもの(次項(1)のEK2に該当するものを除く。)

(2)SC1

 

 

 

S.cerevisiae又はこれと交雑可能な分類学上の種に属する酵母を宿主とし、これらの宿主のプラスミド、ミニクロモソーム又はこれらの誘導体をベクターとするもの(次項(2)のSC2に該当するものを除く。)

(3)BS1

 

 

 

 

 

B.subtilis Marburg168株、この誘導体又はB.licheniformis 全株のうち、アミノ酸若しくは核酸塩基に対する複数の栄養要求性突然変異を有する株又は胞子を形成しない株を宿主とし、これらの宿主のプラスミド(接合による伝達性のないものに限る。)又はバクテリオファージの核酸をベクターとするもの(次項(3)のBS2に該当するものを除く。)

(4)Thermus属細菌

 

 

Thermus属細菌(T.thermophilus、T.agnaticus、T.flavus、T.caldophilus及びT.ruderをいう。)を宿主とし、これらの宿主のプラスミド又はこの誘導体をベクターとするもの

(5)Rhizobium属細菌

 

 

 

Rhizobium属細菌(R.radiobactor(旧名称Agrobacterium tumefaciens )及びR.rhizogenes(旧名称Agrobacterium rhizogenes)に限る。)を宿主とし、RK2系のプラスミドをベクターとするもの

(6)Pseudomonas putida

 

Pseudomonas putida KT2440株を宿主とし、pKT262、pKT263又はpKT264をベクターとするもの

 

(7)Streptmyces属細菌

 

 

Streptmyces属細菌(S.coelicolor 、S.lividans 、S.parvulus、S.griseus及びS.kasugaensisをいう。)を宿主とし、SCP2、SLP1.2、pIJ101、アクチノファージφC31核酸又はこれらの誘導体をベクターとするもの

(8)Neurospora crassa

 

Neurospora crassaのイノシトール欠損株、分生子離脱変異株又は易水溶性変異株を宿主とし、これらの宿主のプラスミドをベクターとするもの

(9)Pichia pastoris

 

 

Pichia pastorisを宿主とし、この宿主のプラスミドをベクターとするもの

 

10)Shizosaccharomyces pombe

Shizosaccharomyces pombeを宿主とし、この宿主のプラスミドをベクターとするもの

 

11)E. coli B株

 

 

E. coli B株又はこの誘導体を宿主とし、プラスミド又はバクテリオファージの核酸であって、接合等により宿主以外の細菌に伝達されないものをベクターとするもの


特定認定宿主ベクター系

区 分

名    称

宿主及びベクターの組合せ

 

B2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)EK2

E. coli K12株又はこの誘導体のうち、遺伝的欠陥を持つため特殊な培養条件下以外での生存率が極めて低い株を宿主とし、プラスミド又はバクテリオファージの核酸であって接合等により宿主以外の細菌に伝達されないもののうち、宿主への依存性が特に高く、他の細胞への伝達性が極めて低いものをベクターとするものであって、ベクターが移入された宿主の数が特殊な培養条件下以外において24時間経過後1億分の1以下になるものとして次に掲げるもの

 

イ χ1776を宿主とし、pSC101、pMB9、pBR313、pBR322、pBR325、pBR327、pDH24、pGL101、pHB1、YIp1、YEp2、YEp4、YIp5、YEp6、YRp7、YEp20、YEp21、YEp24、YIp25、YIp26、YIp27、YIp28、YIp29、YIp30、YIp31、YIp32又はYIp33をベクターとするもの

ロ DP50supF株、χ2447株又はχ2281株を宿主とし、

λgtWESλB、λgtALOλB、Charon3A、Charon4A、Charon16A、Charon21A、Charon23A又はCharon24Aをベクターとするもの

ハ K12株を宿主とし、λgtZJvirλBをベクターとするもの

ニ DP50株を宿主とし、Charon3A、Charon4A、Charon16A、Charon23A又はCharon24Aをベクターとするもの

(2)SC2

 

 

 

S. cerevisiae のste-VC9変異株、SHY1、SHY2、SHY3又はSHY4を宿主とし、YIp1、YEp2、YEp4、YIp5、YEp6、YRp7、YEp20、YEp21、YEp24、YIp25、YIp26、YIp27、YIp28、YIp29、YIp30、YIp31、YIp32又はYIp33をベクターとするもの

(3)BS2

 

 

B. subtilisASB298株を宿主とし、pUB110、pC194、pS194、pSA2100、pE194、pT127、pUB112、pC221又はpAB124をベクターとするもの

 

W 組換え体を含む試料及び廃棄物の保管及び運搬

安全確保を図るために講じなければならない措置は,以下のとおりとする。

【1】 保管に当たって執るべき拡散防止措置

研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、保管(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管を除く。)に当たって執るべき拡散防止措置は、次に定めるとおりとする(施行規則第16条第1号、第2号及び第4号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。

1 遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れ、かつ、当該容器の見やすい箇所に、遺伝子組換え生物等である旨を表示すること。

2 前号の遺伝子組換え生物等を入れた容器は、所定の場所に保管するものとし、保管場所が冷蔵庫その他の保管のための設備である場合には、当該設備の見やすい箇所に、遺伝子組換え生物等を保管している旨を表示すること。

 

【2】 運搬に当たって執るべき拡散防止措置

研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、運搬(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる運搬を除く。)に当たって執るべき拡散防止措置は、次に定めるとおりとする(施行規則第16条第1号、第2号及び第四号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。

 遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。

2 当該遺伝子組換え生物等の遺伝子組換え実験又は細胞融合実験に当たって執るべき拡散防止措置が、P1レベル、P2レベル、P1Aレベル、P2Aレベル、特定飼育区画及び特定網室以外のものである場合にあっては、前号に規定する措置に加え、前号に規定する容器を、通常の運搬において事故等により当該容器が破損したとしても当該容器内の遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。

3 最も外側の容器(容器を包装する場合にあっては、当該包装)の見やすい箇所に、取扱いに注意を要する旨を表示すること。

 

X 教育訓練

安全主任者あるいは実験責任者が、実験開始前に実験従事者に対し行わなければならない教育訓練の事項は、以下のとおりとする。

1.危険度に応じた微生物安全取扱技術

2.拡散防止措置に関する知識及び技術

3.実施しようとする実験の危険度に関する知識

4.事故発生の場合の措置に関する知識(組換え体を含む培養液が漏出した場合における化学的処理による殺菌等の措置に特に配慮を払うこと。)

 

Y 健康診断

大学の長等が、実験従事者に対し健康診断及びその他健康を確保するために講じなければならない措置は、以下のとおりとする。

1.実験の開始前及び開始後1年を超えない期間ごとに健康診断を行うこと。ただし、本健康診断は、各機関における一般健康診断をもって代えることができる。

2.実験従事者が病原微生物を取り扱う場合(【1】実験分類のクラス2、3、4)には、実験開始前に予防治療の方策についてあらかじめ検討し、必要に応じ抗生物質、ワクチン、血清等の準備を行うこと。また、安全委員会等で必要性があると認められた場合は実験開始後6月を超えない期間ごとに特別定期健康診断を行うこと。

3.P3レベル以上の実験区域で実験が行われる場合には、実験開始前に実験従事者の血清を採取し、実験完了後2年間はこれを保存すること。

4.実験室内感染が疑われる場合には、直ちに健康診断を行い、適切な措置を講ずること。

5.実験従事者が次のいずれかに該当するとき又は6に規定する報告を受けたときは、直ちに調査するとともに、必要な措置を講ずること。

(1) 組換え体を誤って飲み込み、又は吸い込んだとき。

(2) 組換え体により実験室及び実験区域が著しく汚染された場合に、その場に居合わせたとき。

(3) 健康に変調をきたした場合又は重症若しくは長期にわたる病気にかかったとき。

6.実験従事者は、絶えず自己の健康について注意することとし、健康に変調を来した場合又は重症若しくは長期にわたる病気にかかった場合は、その旨を学長に報告するものとする。上記の事実を知った当該実験従事者以外の者についても同様とする。

 

不明な点や本指針に記載のない実験をご計画の方は、安全主任にお問い合わせ頂くか又は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」のホームページ

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/kumikae.htm  をご参照下さい。