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放射線治療

淡河恵津世

 「ホスピタルアート」とは医療施設の中に芸術を取り入れることにより、無機質な空間を温かみのある優しいものに変えて、患者さんをはじめとする医療を受ける側にも医療を提供する側にも、より良い環境を作るためのものです。それは、白い壁に描かれる絵であったり、吹き抜けの天井からつるされたオブジェだったり、カウンターにつけられた飾りだったりと発想に決まりはなく、心に語りかけるものであればいいのです。
 放射線治療センターまでの長い廊下に何かできないかとホスピタルアートを計画してかから約3年、最初に私の提案を聞いてくれた久留米大学医学部の美術部主将だったTくんは、卒業して医師になりました。病院の壁に絵を描くのですから、それなりの許可をとり、絵の下描きから選定し、ペンキを購入して、美術部の学生さんのボランティアで、やっと完成しました。医学部医学科、看護科、臨床検査技師学校の学生さんですから、試験中はできず、休みを利用して、コツコツと描いてくれました。本当にどうもありがとう!
 テーマは「窓からの風景~春夏秋冬~」です。そして、私のお願いで、大きな木も描いてもらいました。毎日毎日、長い廊下を歩いて放射線治療に来る患者さんの気持ちが少しでも明るくなるように、この長さを感じないですむように、それぞれの願いをこめた絵だと思います。かなり大きな絵ですので、実際に直接廊下を歩きながら、傑作作品をみていただきたいと思います。

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「冬」
雪だるまが外からのぞいています。
日本では2段の雪だるまがバケツの帽子をかぶっているのが主流ですが、西洋では3段の雪だるまが多く、マフラーやネクタイをつけたり、シルクハットやとんがり帽子をかぶせたりするそうです。
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「秋」
夕映えにススキの穂が揺れています。
ススキの花言葉
「活力」「心身の活動力」「心が通じる」
最近は、ススキもあまり見かけなくなりましたが、秋を感じますね。
秋の七草のひとつ「尾花」として、万葉集にも多く詠み込まれているそうです。
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月見をしているウサギがいます。
十五夜に月見の祭事は、中国から日本に伝わったものだそうです。平安時代には、貴族たちの間で舟遊びをしながら歌を詠む宴と催し、直接月を見ることはせずに、杯や池に月を映して楽しんだそうです。
優雅な時代だったのですね。
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「夏」
花火・青い花火・ハートの花火
久留米の「水の祭典」では、大きな花火があがります。
「筑後川花火大会」の起源は、1650年(慶安3年)、瀬下町の水天宮の奉納花火で、350年以上の歴史を誇るとされています。
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縁側の朝顔、スイカもあります。
風鈴、虫取りって夏の風物詩ですね。
蓮の花の花言葉
「愛情」「平静」「愛情の絆」「明日もさわやかに」
昼間が短くなるにつれて花芽をつける「短日植物」なのですよ。
夏休みの間に数多く花を咲かせたい場合は、「夜きちんと暗くなる場所」に置くことがポイントって知っていますか?
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「梅雨」
かわいらしいカエルが、涼しそうに葉の上にのっています。
蓮の花の花言葉:「雄弁」「休養」「沈着」「神聖」「清やかな心」
生まれたばかりのお迦が歩き出し、その足跡から咲いたのが、この花なんだそうです。ハスの花の上に立ち、この世での第一声「天上天下唯我独尊」と、声を上げたと伝えられている。
天上天下唯我独尊とは、この世に個として存在する「我」より尊い存在はないということ。人間の尊厳をあらわしている言葉ですね。

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アジサイの花言葉:「辛抱強い愛情」「移り気」「元気な女性」
もともとは、「あずさい」と呼ばれていたそうです。「あず」は「集まる」、「さ」は真、「い」は「藍(藍色)」の省略形・・・つまり、「真の藍色が集まっている花」といったような意味合い。鎖国時代に長崎に来日した医師・シーボルトが、滞在中の妻「お滝」の名をつけて(オタクサ)、祖国のドイツに紹介したのは有名な話、ご存知でしたか?
脱線話ですが、シーボルトと楠本瀧(タキ)さんの間に生まれた楠本イネさんは、福沢諭吉の助けで産院(今の産婦人科医院)を開業します。でも、このころの日本では女性の医師への道は狭く受験資格がなかったそうです。現代は女性医師も増えましたよ、イネさん。
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「春~初夏」
冬を過ぎ、小川のせせらぎが聞こえてくるようです。
青い空、若い芽が出て、木々の緑もきれいです。菜の花の黄色がきれいです。
川岸には黄色の花が咲いています。
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「大きな木」
草原にそびえたつ大きな木は、季節関係なく、みんなを見守ってくれているようです。
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「旧東西病棟の古~いエレベータを1階で降りたら、左も見てください。
大きな木の絵がありますからね、この絵の方向に歩いてください。
木を見ながら、左に曲がって直進したら、
治療センターの橙色の扉が見えま~す」

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