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第33回日本高血圧学会総会
ひらめきときめきサイエンス

研究プロジェクト>循環分子治療研究部門

心不全・画像診断班


「FDG-PETを用いた心・血管病の分子イメージング開発」

 久留米大学核医学講座・PETセンターとの共同研究により、FDG-PETを用いて動脈硬化プラークの炎症を非観血的に描出し、スタチンがLDL低下作用に依存しない多面的効果により,この炎症を抑制することを見いだした (Tahara et al. J Am Coll Cardiol 2006)。
 また、頸動脈エコーとの対比を行い、無症候性頸動脈病変の約3割にFDG-PETにて炎症が認められ、このような病変が将来、イベントを発症する可能性を秘めていることを示した (Tahara et al. Eur Heart J. 2007)。さらには、メタボリック症候群の関連因子がプラーク炎症の危険因子であることを見いだし (Tahara et al. J Am Coll Cardiol 2007)、動脈硬化に関与する因子と動脈硬化の炎症に関与する因子が異なることを示した (Tahara, Mizoguchi et al. Immun Endoc & Metab Agents in Med Chem 2008)。これらの研究はFDG-PETが動脈硬化の治療効果を検討する新しい検査法としてアメリカFDAに提起される根拠の1つとなしている(Tahara et al. J Nucl Med 2009 , Tahara et al. JACC Cardiovasc Imaging,in press)。
 現在は、メタボリック症候群の根源となるインスリン抵抗性を改善させることにより、プラークの炎症が改善されるか否か、インスリン抵抗性改善薬による薬物介入の効果をFDG-PETを用いて非侵襲的に評価している (Mizoguchi et at. 投稿準備中, JCS 2009 73rd Annual Scientific Meeting、及びAHA Scientific Sessions 2009にて発表)。また、FDGが高集積するプラークが将来、心・血管イベントを発症するか否か、すなわち本当に不安定プラークであるかをprospectiveに検討中である(Nitta)。また、FDGの集積の程度と内臓脂肪量との関連や薬物介入での検討を行っている(Kodama)。
 さらに、心筋の炎症の診断にもFDG-PETを利用し、従来の検査方法では診断が困難であったサルコイドーシスの心病変をFDG-PETにより高感度に診断し、拡張型心筋症の鑑別までもが可能であることを見出した (Tahara, Mizoguchi et al. 論文投稿中)。
 これまでに、脳・唾液腺・口蓋扁桃・頚部リンパ節・心筋などにFDGの生理的な集積が認められFDG-PET検査のpit fall となりうることが知られている。この問題を解決するために、グルコース代謝に依存しない新しいトレーサーの開発もおこなっている。
member 田原 宣広、溝口ミノリ、児玉紀洋、新田良和