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第33回日本高血圧学会総会
ひらめきときめきサイエンス

研究プロジェクト > 川崎病研究部門

1)川崎病冠状動脈瘤の自然歴と非自然歴の解明:1川崎病心血管後遺症の長期予後の追跡調査として、1973年より心血管造影を行い、2008年までに2500例余の川崎病患児をフォローアップしている。巨大冠状動脈瘤は、遠隔期において、次第にその瘤の前後で狭窄を来たし、虚血性心疾患へと進展する。多施設共同研究により、ワーファリンを含む抗凝固療法が巨大冠動脈瘤を有す症例において、心イベントを防ぐこと、その一方で乳幼児では出血のリスクを有すことを明らかにした。(Suda et al. 2008 Circ J)。  また、川崎病血管炎による虚血性心疾患に対するカテーテル治療の中期成績を解析し、小径のローターブレーダーでの再狭窄の危険性について報告した(家村他 第112回日本小児科学会)。
2)川崎病血管炎の動脈硬化への進展の予防法の検討:今までの我々の病理学的および血管生物学的研究から川崎病血管炎は動脈硬化へ進展する可能性が示唆された。皮膚血流計を用いて、上腕動脈の血管内皮機能の評価を行い、川崎病で冠動脈瘤を有す患者では上腕動脈の閉塞開放後の充血反応が有意に遅れており、末梢血管の機能不全を有していることを明らかにした(Iemura et al. 9th International Symposium of Kawasaki Disease、第45回日本小児循環器学会)。 3)川崎病血管炎の発症機序に関わる細胞系の動態とそのシグナルの解明:我々は川崎病急性期患者で、年齢の同じ健常児や発熱を有す対照児と比較して、樹状細胞特に骨髄由来の樹状細胞が流血中から激減していること、この骨髄由来の樹状細胞の減少は川崎病の臨床像を特徴づける血清アルブミン値の低下やCRP値の上昇に相関し、ガンマグロブリン治療により回復することを見出した(須田他 第28回川崎病研究会、第112回日本小児科学会)。
現在、この研究をさらに推し進め、急性期の川崎病患者で流血中の細胞成分の動態、ケモカインやサイトカインの動態を調べている。
4)慢性期の川崎病血管炎における各種細胞の相互作用の解明:川崎病の冠状動脈瘤では遠隔期においても、血管炎が持続していることが明らかにされてきた。冠動脈障害を有す慢性期川崎病患者血液から特定の細胞成分(特に単球系)を分離し、n vivoで各種ケモカイン・サイトカインにより刺激し解析するため、本年、研究施設に細胞分離装置が導入された。
5)冠状動脈病変に対する遺伝子細胞治療の開発:現在、川崎病のモデル動物作製に関して、情報を収集している。
member 須田憲治、前野泰樹、家村素史、岸本慎太郎、寺町洋三