質問:狭心症について
2年前に不安定狭心症と診断され左冠動脈回旋枝に経皮的冠血管形成術とステント留置の施術うけ、3ヶ月後に再度胸痛が発生したので同様の手当てをうけました。さらに3ヶ月後に再び狭窄しておりました。
主治医には、何度やっても同じ事だから薬物療法を続ければ良いと言われて現在に至っております。
質問の趣旨は、ステントを留置したままの閉塞した血管を放置しておいて良いものかどうかさらに、ロータブレターの施行できる病院で前進的な治療を受けるのがベターがどうかお尋ねいします。
回答:久留米大学循環器病センター 心臓血管外科 林田信彦 医師
回旋枝に対する積極的な治療は必要か否か(ロタブレターを含めて)というご質問に関してお答えしますと、率直な意見を言いますとE-mailの内容のみでは何とも言えないというのがお答えです。
その理由としては、1) 回旋枝から心臓の筋肉に供給している血液量は個人差がかなりあり、○○様の回旋枝がどの程度心臓の筋肉に血液を送っているかがわからないこと、2) 回旋枝以外の冠動脈(前下行枝および右冠動脈)に狭窄があるのか否かがわからないこと、3) 安静時および運動負荷時にどの程度狭心症状が出現するか(心電図や心筋シンチグラフィーの変化を含めて)がわからないこと、などです。
もし可能であれば久留米大学病院の循環器病センターに受診していただき、現在までの心臓カテーテル検査のフイルムなどを拝見させていただければ、ご質問に対する具合的なお答えができるのではと考えております。ちなみに当病院で心臓カテーテル検査、ステント及ロタブレター治療を専門に行っている本間助教授の外来診察日は月曜、水曜、木曜の午前中(8:30-11:00受付)となっております。

ご質問に対する的確な返事ができずに誠に申し訳ありませんが、このお返事が何かのお役に立てれば幸いです。

 
質問:大動脈炎症候群について
 20年前、大動脈炎症候群と診断されました。数ヶ月前に大動脈炎症候群が原因とされる脳梗塞をおこしました。脳梗塞による後遺症などは全くありません。現在今後の方針について検討中なのですが、バイパス手術が必要とのことでした。狭窄の部分も複数あるようです。この場合の手術の危険性や必要時間など教えてください。
回答:久留米大学外科学 血管外科 藤野隆之 医師
頭部への血行は大きく分けて4本が存在します。このどの部分に狭窄又は閉塞所見がみられるかで手術の方法が変わってくるわけです。この手術方法の選択には患者さんの年齢も考慮されますし、全身の臓器の持つ能力がどの程度かの検査が必要でしょう。

さて、手術の危険性ですが、最も大きな危険性はこのバイパス手術を行っている間の脳の血流の保持です。つまり、バイパスの吻合を行う間、全く脳に血液が流れないと広範囲の脳梗塞を呈してくることになります。これに対する補助的な措置をどのようにされるか、担当の先生に伺って下さい。
次に手術時間ですが、胸を切開し、心臓を止めるような手術からこのような手段を用いない方法までその病態によって変わってきます。長くみて心臓を止めるような手術も必要となれば5〜6時間ぐらいではないでしょうか。この時間は前に述べたことがらが大きく関与しますので参考程度にして下さい。

今回のメールの内容から判断するには少し困難なことが多く、明確な回答にはならないかと思います。
詳しいことは、再度メールをいただくか、毎週火曜日の血管外来を受診していただければよいかと思います。

 
質問:腸骨動脈の血栓塞栓に対する手術について
腸骨動脈に、血栓が出来ていることがわかり、手術を、ということなのですが、どのくらいたいへんな、手術なのかよくわからないので教えてください。生命に、危険を、及ぼすものなのか?何時間くらいかかるものなのか。輸血を必要とするものなのか?出来ている長さは、5〜6cmと、聞いております。
回答:久留米大学外科学 血管外科 藤野隆之 医師
御質問の内容を整理しますと
病変部位は腸骨動脈で、血栓性の閉塞病変(5〜6cm)

1)手術の危険性
  2)手術に要する時間
  3)輸血の必要性

腸骨領域の閉塞性病変に対する治療はその病態により、まだ様々な治療が行われています。保存的な(内服薬など)治療以外には大きく分ければカテーテルを用いた治療法があり、もう一つは手術療法と考えてよいでしょう。
御質問の内容からは手術についてと思われますので、これについて以下に述べます。

 1) 記載された如くの一カ所の病変であれば、腹部の大動脈から患側の動脈へのバイパス手術が行われます。(病変が多岐にわたる場合にはY-型の人工血管によるバイパス術が行われることもあります。)
この手術の危険性としては主に二つを挙げておきます。

  1. バイパスの急性閉塞:術後早い時期に起こり下肢の疼痛を伴います。早急に再手術が必要です。
  2. 人工血管の感染:異物である人工血管に細菌が感染して生じます。早急に人工血管の除去と新たな血行再建が必要です。ともに発症率は低いですが生じると重篤です。

 2) 手術の内容によりますが3時間から4時間です。
 3) 通常の症例では輸血は必要としません。

簡単ですが以上のコメントだけにしておきます。詳しくは火曜日に外来を受診していただければお話しできるものと思います。

 
質問:
回答:久留米大学第2内科 鳥村拓司 講師
『liver shuntという病気はありませんが、先天的な血管の走行異常、もしくは肝硬変で本来は肝臓の中を通って心臓に戻るべき血液が肝臓を通らずに心臓に戻っていくものをliver shuntと言っています。直訳すれば血流の短絡路で言いと思います。 イヌが意識をなくすのはおそらく肝性脳症といって血流の短絡路があるために、本来は肝臓で解毒されるべき物質が、血流が肝臓を通過しないために解毒されずおこる意識障害かと思われます。先天的な異常で短絡路ができているのなら、これを塞ぐことで意識障害が良くなるものと思われます。
血液検査のAlphosはアルカリ・フォスファターゼのことと思います。これは肝機能検査の一つです。Alphosが発作の時だけ上昇することは人では聞いたことがありませんがイヌではおこるのかもしれません。
薬に関してFlagylは薬剤名で一般名はメトロニダゾールで、細菌より少し大きな原虫の治療(トリコモナス症など)に用います。Kesollに関しては分かりません。獣医さんに相談されてはいかがでしょうか。
 
質問:WPW症候群の治療について
回答:久留米大学第三内科 不整脈専門担当医平木達朗 医師
まず、WPW症候群とは心臓の電気の通り道が2本ある病気です。この病気は不整脈(急に脈が速くなる発作性上室性頻拍)を引き起こす原因となります。
 しかし、WPW症候群全部が不整脈を引き起こすわけではなく、約半分の方は一生不整脈を起こさずに、健康なままです。
 このような方は1年に1回の検診だけで、十分ですし生活制限やお薬での治療もいりません。
 しかし、不整脈を起こしたことのある方は頻度や不整脈の持続時間にもよりますがお薬やカテーテル治療の適用になります。
 現在、久留米大学第三内科では胸を切開せずに、太股の付け根から局所麻酔だけで行えるカテーテルアブレーションという根治手術を行い300例以上の方に95-98%の成功率で治っています。この方法ですと入院期間は2-3週間で済みますし、安静は半日です。もちろん健康保険の適応ですので、費用は6万3000円(入院費込み)程度です。
 現在も16歳から70歳までの方を中心に週2-3例ずつ治療行っています。

<当科より>以上のようなコメントでしたが、平木先生は久留米大学病院循環器外来で、金曜日午前・午後不整脈専門外来を行っていらっしゃいます。受診されれば、もっと詳しいご説明と、カテーテルアブレーションが必要かどうかの診断をいたします。ということでした。

 
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