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教授あいさつ

渡邉教授

 本講座は1956年故中川 洋名誉学長によって開設されたウイルス学講座を前身とし、2007年の改組により感染医学講座臨床感染医学部門と名称変更し、私が初代主任教授に就任しました。そして、2014年4月1日に基礎系講座から臨床系講座へ移行し、感染制御学講座として開講いたしました。

 感染制御学講座が目指す主な目標は、感染症の治療成績の向上に貢献すること、および感染制御に携わる人材の育成です。

 感染症の治療成績を上げるためには、速やかに、かつきめ細かに感染症患者を診療できる仕組みを作ることが最も大切ではありますが、様々な診断のためのツールをもつ必要もあります。我々の研究室には病院内では行えない診断のための検査法も準備し、稀な感染症を疑った場合も国立感染症研究所などの他施設に速やかに検査依頼ができるようなネットワークを構築しています。また、新規の診断法や感染症治療薬開発に関する研究も行っており、海外との共同研究や世界保健機関 (WHO)のGlobal Outbreak Alert & Response Network (GOARN) partnerなどを通じて世界とのネットワークも有しています。近年、鳥インフルエンザA(H7N9) や中東呼吸器症候群(MERS)などの新興感染症の発生があり、今後も新たな感染症の世界的流行の懸念はつきません。我々は、この様な世界的に問題となる感染症に対しても海外の国々あるいはWHOなどと連携をとることにより対応できるようにしたいと考えています。

 感染制御は医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など多職種で行うものであり、これまで本学大学院医学研究科修士・博士課程や感染制御看護師養成プログラムの大学院生として医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師を受け入れてきましたが、近年は臨床研修プログラムでの初期臨床研修医やクリニカルクラークシップでの医学科学生の受け入れを行うようになり、人材育成のための教育プログラムが充実してきました。当教室では感染制御部としての院内感染対策、サーベイランス、針刺し・切創報告管理、病棟ラウンドなどの感染管理とともに感染制御科として全診療科に対し横断的に行う感染症コンサルテーション、症例検討および回診などに加え、マラリア、デング熱などの輸入感染症や原発巣不明の重症感染症などを対象に感染症患者の入院治療も行っています。輸入感染症は日本にいるのみでは十分な症例を経験することが困難ですので、若手の感染症専門医育成のため2015年よりタイ、チェンマイでの短期海外臨床研修も毎年行っています。若手医師には海外研修やGOARNの研修に積極的に参加してもらい、将来世界で活躍できる人材を育てていきたいと思います。

 2007年4月に始めた海外旅行外来は、海外旅行・ワクチン外来と名称を変え、久留米大学病院総合診療棟2階の内科総合外来内で行われていますが、遠方からの受診者も多く、これまでの延べ利用者数は2019年6月に20000人を超えました。本外来では2018年8月よりWEB予約を開始しており、24時間、いつでも予約ができるようになっています。

 これからも本学や国内外の医療機関との連携を深め、スタッフと力を合わせて社会に貢献できるような感染症の臨床、研究および教育面での成果があげられる様努力していく所存です。

 ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

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2019年11月5日

感染制御学講座
主任教授 渡邊 浩