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研究内容

バイオフィルムと感染症難治化に関する研究

近年、臨床上問題となる多くの難治性感染症にバイオフィルムが関係していると言われる様になり、人の気道に常在し、時に中耳炎などの耳鼻咽喉科領域感染症、髄膜炎、下気道感染症を引き起こすインフルエンザ菌や肺炎球菌も人気道上皮細胞上や鼓膜などでバイオフィルムを産生することが報告されるようになった。そこで、我々は治療難治化の要因としてバイオフィルムがどのように関わっているのか、また抗生物質のバイオフィルム抑制効果に関する研究を行っている。

インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに関する研究

インフルエンザウイルス遺伝子の複製と転写は自身の持つRNAポリメラーゼによって宿主細胞の核内で行われている。このRNAポリメラーゼは3種類のサブユニットにより構成されており、それぞれPB1、PB2、PAと呼ばれる。我々はこのうちのPAおよびPB2サブユニットに宿主への適応、温度環境への適応、さらには遺伝子再集合(亜型間にサブユニット同士の相性がある)に関する役割を見出した。現在、これらの役割を詳細に解析し、機能やメカニズムの発見、薬剤への応用を目指している。

ヒトメタニューモウイルスに関する研究

ヒトメタニューモウイルスは2001年に発見されたウイルスで、小児を中心に呼吸器感染症を引き起こす。症状はRS ウイルスと似ており、乳幼児では重症化する場合があるため注意が必要である。当教室ではヒトメタニューモウイルスが高齢者の収容施設で集団感染を起こしうることを報告した。現在、治療薬の開発に向けて、ヒトメタニューモウイルスの増殖機構の解明を行っている。

C型肝炎ウイルスのIRESと治療効果に関する研究

C型肝炎ウイルスの遺伝子にはIRES(Internal ribosomal Entry Site)と呼ばれる特異な配列が存在している。最近、我々はこのIRESが遺伝子複製だけでなく、Interferon-ribavirin 併用療法といった治療への感受性にも関与している事を報告した。これらの結果は、治療効果に関する予測因子として応用することが可能であり、さらに、次世代シーケンサーを用いて治療感受性と抵抗性クローンの比較解析を進めている。