教授挨拶

2021年10月に主任教授として着任しました、嶋雄一と申します。久留米大学の解剖学講座には長い歴史があり、顕微解剖・生体形成部門(旧・解剖学第二講座)の教授としては、私が第6代となります。就任にあたり、ご挨拶申し上げます。

教育について

解剖学は人体の構造を学ぶ学問であり、医学を学ぶ上で基盤となる学問です。また、医学生が最初に学ぶ専門科目であり、私たちは重要な初期教育を任されているとも言えます。私が学部生であった頃と比較しても、医学教育は大きく様変わりしました。医学の知識は日進月歩で増え続けていますし、医師に対する社会的要請も大きくなる一方ですので、当然のことだと思います。このような時代に医学を学ぶ学生にとって、ともすれば、解剖学は臨床と関連が薄い退屈な学問にも思えるようです。しかしながら、解剖学の知識が医師としての基礎となることは、洋の東西を問わず、またいつの時代にも共通することです。私たちは医学教育の土台を担っていることを自負し、久留米大学医学部での解剖学教育に全力を尽くす所存です。

医学生へのメッセージ:(久留米大学医学部「医学教育ニュース」第66号)

研究について

大学に身を置くものとして、研究は欠かすことのできないものですし、研究者として生きると心に決めた時から、私にとって研究とは単なる仕事ではなく、人生の指標ともいえる大事なものです。研究者にとって大事なことは、(さまざまなご意見があることを承知で書きますと)本質を見抜き、理論的に考え、伝えることだと考えています。そしてそのような研究は、分野に関わらず、人の心を動かす力を持っていると信じています。私の大学人としての残された期間で、一つでも多く、人の心に響くような研究成果を出せるよう、力を尽くしたいと思います。

今後の抱負

研究と教育は別々のことのように見えますが、実は根底ではつながりがあります。研究者として、本質を見抜き、分かりやすく伝える能力は、教育にとっても重要で、真に優れた研究者は、優れた教育者としての資質を兼ね備えています。私も、教育と研究の両輪をフル回転させ、久留米から世界へ独自の研究成果を発信するとともに、久留米から日本へ、あるいは世界へ羽ばたく人材を育成していきたいと考えています。

久留米大学医学部 解剖学講座 顕微解剖・生体形成部門
主任教授 嶋 雄一