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おなかの免疫から考える、新型コロナウイルスに打ち勝つための独り言
「免疫を理解し、新型コロナウイルスを正しく恐れるために」

(更新2020年5月28日、第15版)

PDF版はこちらからダウンロードしてください:

医療系の学生さんは基礎免疫知識が追記されているこちらをダウンロードしてください:

免疫とは?

免疫の役割は新型コロナウイルス等の病原体から我々の体を守ってくれる仕組みです。しかし、免疫はウイルスが体内に入らないように水際で防ぐ役割は担っていません。侵入してしまったウイルスを体から追い出す役割を担うのが免疫です。よって、免疫力が強いと症状が出ないままウイルスを追い出し、症状が出ても軽症で済みます。一方、免疫力が弱いと重症化や最悪の場合は死にも至ります。 これだけ進歩した現代科学・医療をもってしても、未知の新型コロナウイルスに対して悪戦苦闘が続いている状態です。一方、我々の体の免疫システムは、この未知の侵略者に対しでさえ的確に戦い勝利を収めてくれています。つまり、免疫が適切に働いていれば、新型コロナウイルスは「正しく恐れる」ウイルスなのかもしれません。事実、新型コロナウイルスが爆発的に蔓延したアメリカでさえ、免疫力がしっかりしていれば98%以上の方は無症状か軽症で済んでいます。

免疫の仕組みは?(5月22日追加)

免疫は何種類もの細胞のチームプレイにより病原体を排除します。免疫細胞は自然免疫細胞群と獲得免疫細胞群に分けられます。病原体が入ってくると自然免疫細胞が数時間以内に攻撃を仕掛けます。自然免疫細胞は非常に血気盛んで、病原体を丸飲み(貪食)したり、石(サイトカイン)を投げて相手を攻撃します。しかし、自然免疫細胞は「悪そうな相手」全てに対して、むやみやたらに攻撃を仕掛けるため、効率的な攻撃法とは言えません。よって、たまに暴走してしまい「サイトカインストーム」と呼ばれる病気を起こしてしまう事もあります(下記参照)。自然免疫細胞が戦っている間、獲得免疫細胞は自然免疫細胞より情報を得て「本当に悪い主犯」を認識して、それを覚えこみます。我々の体の中で脳細胞だけが物を記憶できると思われがちですが、実はT細胞とB細胞と呼ばれる獲得免疫細胞も記憶することができます。しかし、獲得免疫細胞が敵を倒すための効率的な戦略をたて、主犯を記憶して戦いに参加できるには3日間以上の準備期間が必要です。この間は、自然免疫細胞が一人で戦う事になり、強敵や多勢の場合は苦戦してしまい我々に多くの症状が出てしまいます。 自然免疫細胞が苦戦しながらも3日間戦ってくれれば、準備が整った獲得免疫細胞が援軍として助けに来てくれます。獲得免疫細胞は、吹き矢(抗体)を使い、主犯に対し的確にピンポイントで攻撃を仕掛けます。また、この吹き矢が目印となり、自然免疫細胞は、これまでの様にむやみやたらに攻撃をしかけるのでなく、吹き矢の刺さった主犯を的確に攻撃(抗体依存性細胞傷害)できるようにもなります。このチームプレイにより病原体は撃退され症状が急激に改善します。よって、この時期に入れば、特効薬を飲んだ時の様な印象を持たれる患者さんもおられるかもしれません。すなわち、免疫力は最強の抗ウイルス薬です。病原体の排除が終わると、免疫を抑制する機能を持つ特殊な獲得免疫細胞群が、興奮した免疫細胞達を落ち着かせ健康状態へと戻していきます。この戦いの終息がうまくいかないと興奮した細胞群は暴徒化して、敵に代わり自身の細胞に対しても攻撃を仕掛けてしまうようになり、自己免疫疾患を起こしてしまう事も稀にあります。

免疫が低下する原因は?

● 加齢:年齢に伴い免疫力は徐々に低下してきます。よって、高齢者は重症化する危険性が高くなります。事実、新型コロナウイルスによる死者は高齢者に集中しており、高齢者保護が最も重要な課題なのかもしれません。


● 基礎疾患:糖尿病、ガン、白血病、慢性腎疾患に伴う透析、肝硬変、心不全、後天性免疫不全症候群(AIDS)などは免疫力低下を起こす代表疾患です。

● 免疫を抑制する薬:自己免疫疾患などで使用される多くの薬には免疫抑制作用があります。

● 過度の肥満と過度なダイエット:免疫力維持には適度な体重が必要です。つまり、太りすぎでも痩せすぎでも免疫力の低下を起こしてしまいます。特に、肥満の方は免疫力の低下に加え、糖尿病などを合併する頻度も高く、お腹の脂肪で横隔膜の動きが抑制されウイルスが肺から吹き出しにくくなるので、重症化率が高いとの報告もあります。

● 睡眠不足:しっかりした睡眠が免疫力強化につながります。

● お酒:お酒は免疫力を低下させるので、感染リスクのあった日のお酒は控えた方が得策です。

● 妊娠(特に24週以降)

コロナ感染を助長するその他の原因は?

● 高血圧:新型コロナウイルス重症者に高血圧の患者さんが多いのですが、高血圧と免疫低下に関する明らかな科学的根拠はありません。コロナウイルスは、血圧のコントロールに関与するアンジオテンシン変換酵素2という分子を窓口にして体内に侵入するので、この分子の発現様式が高血圧患者さんにおいて変化している可能性もありますが現在は不明です。

● 閉塞性肺疾患と喘息:喫煙は閉塞性肺障害を起こします。すなわち吸い込んだ空気が吐出しにくくなります。これによりウイルスが肺内に溜まり感染が悪化してしまいます。喘息でも同様です。また、脂肪が溜まりお腹が出ている人や、ガスでお腹が常に張っている人も横隔膜を圧迫して、ウイルスを効率良く肺から吹き出せない可能性があるので注意が必要です。

● 男性ホルモン:新型コロナウイルスによる重症化は男性に多いことが世界的に認められており、日本でも同様の傾向があります。この性差は過剰なアンドロゲン(男性ホルモン)産生に起因することが最近報告されました。コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2に最初に引っ付き、TMPRSS2と呼ばれる酵素を利用して体内へと侵入します。TMPRSS2の発現には、アンドロゲンが寄与する可能性が報告されており、アンドロゲン仮説には科学的裏付けがあるかもしれません。また、アンドロゲンによる男性型脱毛症の方に重症化が多いとの報告もあります。

世界から学ぶことは?

● アメリカ:5月20日の米国疾患管理予防センター(CDC)の報告では(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/planning-scenarios.html)、新型コロナウィルスに感染しても症状の出ない人は35%で、症状が出た人のうちの死亡率は49歳以下で0.05%、50から65歳で0.2%、65歳以上では1.3%と報告されました。米国の季節性インフルエンザの死亡率は約0.1%ですから、49歳以下では季節性インフルエンザより死亡率が低く、65歳を超えると逆に高くなるようです。免疫力が維持できていれば、無症状か軽症で済み、もし重篤化しても死へはつながりにくい事を教えてくれているのかもしれません。

● イタリア:5月21日にイタリア国立衛生研究所(ISS)が発表したイタリアの解析結果ですhttps://www.epicentro.iss.it/en/coronavirus/bollettino/Report-COVID-2019_21_May_2020.pdf。新型コロナウィルスに感染しても症状の出ない人は25.5%で、軽症ですむ人は43.7%です。米国と大きく異なる点は死亡率です。29歳以下は0%ですが、30-39歳で0.2%, 40-49歳で0.9%, 50-59歳で3.5%, 60-69歳で10.3%, 70-79歳で27%, 80-89歳で41%と非常に高い死亡率を認めています。この結果は、免疫学や感染学の側面からは説明できないのかもしれません。事実、亡くなられた方の約96%には基礎疾患があります。基礎疾患の内訳は高血圧68%、糖尿病30%、虚血性心疾患28%、心房細動22.5%、慢性腎不全20.4%, 慢性閉塞性肺障害16.4%、心不全16.2%、ガン15.8%、痴呆15.8%、肥満11%、脳梗塞10.2%です。各基礎疾患の罹患率をたすと250%以上となり、適切な継続治療が命を守るために必要な基礎疾患を2つ以上も合併していた事になります。「患者さんの津波に襲われている」と言う医師の言葉で表されるように、イタリアは深刻な医療崩壊が起きています。つまり、新型コロナウイルス感染より、むしろ医療崩壊により基礎疾患に対する適切な治療が受けられなかったことが、このように高い死亡率につながったのかもしれません。「過剰に恐れる事により生じる医療崩壊」の危険性を教えてくれる教訓かもしれません。

免疫力強化法は?

● 糖分と適度な運動:免疫力を強くすることは感染症に対して有効ですが、強すぎるとアレルギー、自己免疫疾患、成人病の原因ともなります。よって、免疫力は強すぎてもダメ、弱すぎてもダメでバランスを保つ事が重要です。通常、体に良いと言われる食べ物は、このバランスを保つ方に働きアレルギーや成人病発症の予防となります。一方、普段は敬遠されがちな糖分や炭水化物は免疫のエネルギー源となり免疫力の強化につながります。糖に含まれるグルコースは腸内細菌によりアデノシン3リン酸に代謝されます。このアデノシン3リン酸が免疫活性化のエネルギー源です。実際、生まれつきアデノシン3リン酸が利用できないと重症複合型免疫不全症と呼ばれる免疫が働かない病気になります。また、アデノシン3リン酸 を利用できないようにする薬は免疫を抑制できるので、関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の治療に現在用いられています。すなわち、糖分は免疫強化のための重要な活力源となります。

【ここでボディーマスインデクス(BMI)を計算してみてください】
BMIの計算法:体重74キロで身長176 cm(1.76 m)の場合は
74 ÷ 1.76 ÷ 1.76 = 23.88で23.88がBMIです。

18.5以下の方は痩せすぎ、18.5から25は正常範囲、そして25以上で肥満の領域に入ってきます。BMIが25以下で耐糖能異常が無く、デザートを「太るから」と食べたいのに普段は控えている方は、今こそ本能の赴くままにお召し上がり下さい。ただし、摂取したエネルギー源を効率良く免疫細胞に取り込ませるには食後の軽い運動が必要です。免疫力強化と体重増加予防を兼ねて、食後の散歩(室内での30分程度の足踏みでも充分です)はお忘れなく。 また、免疫の暴走を抑えるためにバランスを保つ事も重要で、食物繊維の摂取もお忘れなく。

1918年に起こったスペイン風邪のパンデミックでは、高齢者ではなく20歳から40歳までの若者に死亡者が集中する異なった様相を呈しています。サイトカインストーム(下記参照)と当時の栄養状態が働き盛りの若者を死に導いたと考えられています。ウイルスに打ち勝つためには「若くても栄養をしっかりと取らないといけない」と言う教訓かもしれません。

食と免疫についてもっと知りたい方は、https://www.youtube.com/watch?v=OTs0_lZ9NAYをご覧ください。「食と免疫」についてブルーリボンキャラバン久留米で2月15日にお話させて頂いた内容です。

● 塩分、卵・乳製品:塩分はSalt kinase と呼ばれる転写因子を刺激することにより、免疫細胞を活性化することが報告されています。卵や乳製品は硫酸還元菌(おならが臭くなります)と呼ばれる腸内細菌を増やして、これらが免疫を活性化することが報告されています。高血圧、腎疾患、脂質代謝異常などがない方は、免疫力強化のため今は多めにとっても良いかもしれません。

● お風呂: 冷えると免疫力は低下します。逆に、微熱のように体温が少し上がった状態が免疫力を強くします。よって、お風呂に入る事は免疫力強化に有効ですが注意が必要です。免疫細胞は病原体と戦う軍隊として非常に合理的に統率されています。

しかし、血管が拡張すると免疫の統率機構が障害を受け、ウイルスに対して有効に攻撃を仕掛ける事が出来なくなります。血管が拡張すると皮膚は赤みを帯びてきますから、皮膚が赤くならない程度にお風呂につかるのが免疫強化には最適かもしれません。湯冷めも禁物です。

 

● BCG: 免疫には自然免疫細胞と、病原体の特徴を記憶して、その病原体をピンポイントで攻撃する獲得免疫細胞があります。獲得免疫細胞が病原体を記憶し攻撃できるようになるには72時間が必要です。この72時間の間に、ウイルスは攻撃を受けることなく体内で増殖し重篤な症状を引き起こします。予防接種は、獲得免疫細胞に無毒化したインフルエンザウイルス等の病原体を暴露することにより、これを外敵と記憶させ本物が来た時に即座に攻撃を仕掛けるようにしたものです。これにより、獲得免疫細胞は時差なく速攻でウイルスに立ち向かうことができ、重篤化の前にウイルスを追い出してくれます。

これまでは、自然免疫細胞には獲得免疫細胞のような記憶能力はないと考えられていました。しかし、「Trained Immunity」と呼ばれる記憶機構により、自然免疫細胞が病原体と的確に戦えるように訓練されている事が近年明らかとなりつつあります(Science 2016 p6284; Cell Host Microbe 2018 p89; J Clin Invest 2019 p3482; Nat Rev Immunol 2020 p1)。この自然免疫の記憶と訓練を誘導する可能性があるのがBCGです。獲得免疫のようにピンポイント攻撃はできないので予防接種ほどの強力な効果はありませんが、BCG接種をしない米国やイタリアに比べて、幼少期に行うBCG接種が本邦やアジア諸国における新型コロナウイルスに対する死亡率低下の一因を担っている可能性もあります。つまり、過去のBCG接種により「感染することは抑制できませんが、重症化を抑制している(感染率は変化しないが死亡率を減少させる)」のかもしれません。また、興味深いのがドイツです。Merliner Morgenpostのデータを見ると、死亡者は旧西ドイツに多い傾向が認められます。1990年の再統一まではBCG接種が旧東ドイツでは義務化されていた事も何か寄与しているのかもしれません。日本人はBCGを既に接種しており、ツベルクリン反応は陽性である事、そして成人へBCG接種の安全性は担保されていない事から考えると、成人に再度BCGを接種する必要は無いと思われます。

(5月18日追記)最新版は「重症化しやすい人は?」の章をご覧ください)BCGは生ワクチンに分類されます。すなわち毒性を弱くした生きた菌を接種することになります。また、国々で異なった種類の菌がBCGに使われています。日本株やソ連株と呼ばれる菌が使用されるBCGは第一世代と呼ばれ、結核菌数が多く含まれています。自然免疫の第一人者であられる大阪大学免疫学フロンティアセンターの宮坂昌之教授が日本株とソ連株の効力が強い可能性をお話されています。北半球では多くの国がロックダウン解除の方向に動き始め第一波が落ち着きを見せ始めた現段階でのBCGと死亡率の相関を見てみました。BCGは新型コロナウイルスへの感染は予防しませんが、重症化の予防に非常に寄与しているようです。100万人あたりの死亡者数が突出している国は、全てBCG接種が義務付けられていない国に認められます。また、日本株BCGを接種している国すべてにおいて死亡者数が著名に抑制されています。幼少期に接種され、副作用が強いため瘢痕まで残した日本株BCGが、新型コロナウイルスによる重症化から我々を今守ってくれているのかもしれません。

腸管は?

新型コロナウイルスが咳などの飛沫やエアロゾルを介して感染することはよく知られていますが、実は腸管にも感染します。コロナウイルスが侵入するためにアンジオテンシン変換酵素2を必要とするので、この酵素が発現する場所に感染が起こるわけです。アンジオテンシン変換酵素2は腸管にも多く発現するため、腸管に感染して下痢を起こす場合もあります。また、新型コロナウイルスは症状の消失後も糞便から約1週間検出できるとの報告もあります。よって、飛沫のみでなくノロウイルスのように排泄物により感染する可能性があるという事で、頻回な手洗いが予防には重要です。また、トイレで水を流す時はウイルスが空気中に飛び散る可能性があります。公衆便所などで水を流すときは便器の蓋をするか、蓋が無ければ空気中への飛散を防ぐため便器に腰かけたまま流すのが良いかもしれません。

血管は?

アンジオテンシン変換酵素2は嗅神経にも発現するとの報告があるので、これにより嗅覚障害を起こすのかもしれません。また、アンジオテンシン変換酵素2は血管の内皮細胞にも発現し、血液を固める働きのある血小板の凝集を防いでいるとの基礎的研究もあります。新型コロナウィルスが血管のアンジオテンシン変換酵素2に結合することで、血を固まり易くして脳梗塞、肺塞栓、足の指の血栓症を起こす場合があるのかもしれません。また、尋常ではない急速な肺炎の進行が新型コロナウイルス肺炎の特徴です。感染免疫学の側面からは、この現象を説明するのは非常に難しい状態でした。しかし、新型コロナウィルスの血管内皮細胞への結合により血の塊が作られ、これにより血液が遮断され、最終的に虚血性の肺障害を起こしていると考えれば、肺炎の急速な進行は説明がつくのかもしれません。事実、新型コロナウィルスによる剖検の結果では、58%の患者さんに肺の血流が遮断された「肺塞栓」が認められることが報告されています(Ann Intern Med 2010, p62))。このように重症化を起こす病態も現在は織り込み済みで対処法もありますので、専門の医師にお任せください。

小児は?

新生児は母親由来の免疫因子(IgG)により生後半年間は守られ、その後は自身の未熟な免疫機構が6年以上かけて徐々に成熟していきます。一方、個人差は有りますが中高年から免疫機構は衰え始めます。すなわち、免疫力の弱い乳幼児と高齢者が一般的には感染症に対して重症化しやすくなります。事実、季節性インフルエンザでは乳幼児と高齢者に重症化が見られ、毎年1,000人から3,000人もの命を本邦で奪っています。2003年に発生したSARSは「SARS-CoV」と呼ばれるコロナウィルスが原因です。現在のCOVID-19は「SARS-CoV2」と呼ばれる新型コロナウィルスにより起こります。これら2つのコロナウィルスによる重症化の年齢は、これまでとは少し異なります。高齢者は重症化しやすいのですが、乳幼児や小児は殆ど重症化していません。病原性の高いSARS (致死率9.6%)の年齢別の死亡率は65歳以上で約50%、24歳未満では1%以下です。今回のCOVID-19の20歳未満の死亡率は、ほぼ0です。何故「乳幼児・小児は新型コロナウィルスに抵抗性を持つのか?」については未だ明らかではありませんが、少なくとも2つの可能性があります。新型コロナウィルスは血圧調節に寄与するアンジオテンシン変換酵素を足掛かりとして体内に侵入するので(上記参照)、この酵素の発現が乳幼児・小児では低いのかも知れません。もう一つの可能性は伝染性単核球症と言う病気が教えてくれているかもしれません。エプスタイン・バール(EB)ウィルスが起こす病気ですが、幼少期で感染すると症状はほとんど無く、思春期に感染すると重篤な症状が出てしまいます。何故なら、EBウィルスは体を守ってくれるはずの免疫細胞(B細胞など)に感染し、この細胞を運び屋としてウィルスを身体中にばら撒くからです。免疫系が未熟な乳幼児では、「運び屋である免疫細胞」が少なく重症化から守られているのかもしれません。

サイトカインストームは?

免疫は敵である病原体を撃退したあと、抑制機構が働き興奮した免疫細胞を落ち着かせるようになっています。しかし、この抑制機能が働かないと免疫は暴走を続け最後には暴徒化して自身の体をも攻撃してしまいます。この代表例が「サイトカインストーム」で、免疫力の強いかた(特に若者)が稀に起こす病態です。サイトカインストームは新型コロナウイルスに特異的な現象ではなく、EBウイルス、インフルエンザウイルス、連鎖球菌等の他の感染症にも合併する事があります。稀にしか生じないサイトカインストームを恐れて「免疫力を弱くしろ」という話をたまに耳にしますが、完全な間違いです。免疫力を弱くすることは、新型コロナウイルスと戦う前に「白旗を上げて殺されるのを待つ」のと同じです。まずは、新型コロナウイルスを体から撃退することが先決です。 皆さんにできる事は、新型コロナウイルスに感染しないように心がけ、もし感染しても無症状や軽症で済むように免疫力を強化することです。もし不幸にも、免疫が暴走してしまいサイトカインストームによる肺炎が生じた場合は、専門の医師にお任せ下さい。

免疫の撹乱は?

病原体の中には免疫を撹乱させるものも多数あります。代表的な撹乱方法は「分子擬態(構造擬態)」と呼ばれるものです。「オレオレ詐欺」のように、他人でありながら息子に成りすましてきます。つまり、味方のように見せかけることにより、免疫細胞の敵味方の区別を見誤らせ、味方(自身の体)に攻撃を仕掛けるように仕組みます。例えば、マイコプラズマという病原体は、この方法により免疫の反乱を導きギランバレー症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性の肺炎などを誘発することがあります。胃に感染するピロリ菌も自己免疫性血小板減少性紫斑病を起こしますし、性病であるクラミジアも反応性関節炎と呼ばれる自己免疫反応を起こすことがあります。新型コロナウィルス感染に伴い、稀にですがギランバレー症候群や、小児に川崎病の合併を引き起こす事も報告されています。よって、新型コロナウィルスも免疫を撹乱する能力を持っていると思われます。事実、ヒトコロナウイルス (Human corona virus、HcoV-229E, NL63, OC43, HKU1)と呼ばれる弱毒性のコロナウイルスは、新型コロナウイルスが現在のパンデミックを起こす以前に、全世界に既に蔓延しています。事実、インフルエンザ流行期の10%以下の患者さんがヒトコロナウイルス陽性と各国から報告されています。そして、ヒトコロナウイルスの中のHcoV-229E型が川崎病の原因である可能性もいわれています(J Med Virol 2014 p2146)。 こういう症例が報道されると「免疫力は下げた方が良い」と思う方がいらっしゃいますが、完全な間違いです。まずは、免疫力を高め、新型コロナウィルスを体から追い出す事が先決です。その後におこる合併症は、新型コロナウィルスに特異的でなく他の感染症でも起こりえる折り込み済みの病気ですので、専門の医師にお任せ下さい。

抗体検査は?

感染すると獲得免疫細胞の一種であるB細胞が、そのウイルスを記憶して抗体が産生されます。抗体には5種類あり、まずはIgMアイソタイプと呼ばれる抗体が産生され、次にIgGアイソタイプと呼ばれる抗体が長期間産生されます。よって新型コロナウイルスに対するIgG抗体が陽性であれば、その患者さんは「過去に新型コロナウイルスに感染していた」、「免疫を持つので、コロナウイルスから守られている」、そして「ウイルスを他人にうつしにくい」といった多くの情報が得られます。実際、感染患者数などの最終的確認の疫学調査には抗体検査が用いられます。また、抗体陽性者は他人に感染させないので外出制限は必要ないという事にもなります。PCR法は今現在ウイルスに感染しているかいないかを見るのには優れていますが、擬陽性や偽陰性の多さから感染の全体像を正確に把握するのには問題があります。最終的には、PCRで確認された感染者数の10から100倍もの感染者が存在していたという結果になると思われます。実際、最近のドイツのガンゲルド市の抗体検査では、PCRの結果を遥かに超えた14%の市民にコロナウイルス感染の既往があり、新型コロナウイルスによる死亡率はPCR結果から推測した2%より低い0.37%であると報告されています。

● 抗原検査:採取した検体にウイルスがいるか、いないかを判定するもので、季節性インフルエンザの時に多くの皆さんが経験した事があるかもしれません。クリニックでも行え、短時間で結果がでると共に、結果が陽性であった場合の信頼度は高いと考えられます。一方、PCRほど感度が高くないため、ある程度のウイルス量がないと陰性となってしまう可能性があります。

● IgM型イムノクロマト法:新型コロナウイルスに感染すると、獲得免疫がゆっくりと活動を始めます。まず、最初にIgMアイソタイプと呼ばれる抗体を産生し、その後に「クラススイッチ」と呼ばれる現象で「定常領域(Fc領域)」と呼ばれる尻尾の部分が置き換わりIgGアイソタイプへと変わります。IgGへの切り替わりにより、IgMは減少を始めますが、切り替わったIgGは長期間保持されます。IgM産生が最初に起こるので、診断に利用できると思われがちですが、有用性は乏しいと思います。実は、IgMが検出可能な十分量に到達するには感染後約1週間が必要なのです。すなわち、COVID-19の診断には非常に使いにくいと思われます。また、IgGへ切り替わった後に減少するので、感染歴のある人数を把握する疫学調査にも使用は難しくなります。

● IgG型イムノクロマト法:IgGは感染後期、すなわち回復期から増加を初めて長期間保持されます。よって、診断には使用できませんが、感染歴のある人数を把握する疫学調査には有用です。しかし、新型コロナウイルスでは1つ問題が現在認められています。弱毒性のヒトコロナウイルスは2000年代からすでに全世界に蔓延しているので(Jpn Infect Dis 2018, p167)、このヒトコロナウイルスへ対するIgG型抗体を持つ方もいます。この場合、「交叉現象」と呼ばれる作用により新型コロナウイルスに対しても弱い陽性を示してしまいます。これが、日本赤十字社が行った抗体検査キット試験で、「新型コロナウイルスが流行する以前の昨年1月から3月に採取した血液中に0.4%の陽性」が認められた原因なのかもしれません。新型コロナウイルス特異的なイムノクロマトキットが開発されるまでは、弱陽性はヒトコロナウイルス感染の既往を反映している可能性も考慮しながらの慎重な検査結果の判断が必要かもしれません。 新型コロナウイルスに交叉反応を示すヒトコロナウイルスに対する抗体を持つ人は、新型コロナウイルスに対しても免疫があり重症化しにくい可能性も報告されています。しかし、新型コロナウイルスによる死亡者が多い欧州では、ヒトコロナウイルスの検出頻度が日本より高い事も報告されており(Microorganisms 2020, pE501)、今後の慎重な検討が必要かもしれません。

再感染は?

PCRが陰性となり退院後に再び陽性となる患者さんが、5%から15%いる事が報告されています。しかし、再陽性になった患者さんの殆どは無症状で、症状があっても軽症です。最近の報告では再陽性の患者さんの多くは、既に新型コロナウイルスに対するIgG型の抗体を持っていることが報告されています。これらの結果は、再陽性の患者さんは既に免疫により新型コロナウイルスから守られている事を教えてくれます。それでは「何故PCRが再陽性になるのか?」ですが、偽陰性・擬陽性の多いPCRの特徴を反映しているのかしれません。PCRを正確に行うには熟練の技術者が必要で、操作を行う部屋も「核酸抽出用」「PCR用」というように分けなくては正確な結果を出すことができません。よって、正確性の担保のため、診断目的にはロボットによるPCRが用いられ始めています。しかし、この様なロボットシステムを用いてでさえ、検体の採取の仕方や採取時のウイルス量によっても偽陰性となることがあります。つまり、本当はウイルスが残っているのに、陰性と判断された可能性も高いと思われます。望ましくない2つ目の可能性は、「潜伏感染」です。「熱の花」として知られる単純ヘルペスウイルスが良い例かもしれません。単純ヘルペスウイルスは、免疫細胞が入ることができない、すなわち攻撃ができない神経節に潜みます。風邪や疲労で体力が落ちて免疫力が低下すると、単純ヘルペスウイルスはここぞとばかりに神経節から出てきて攻撃を仕掛けてきます。これにより口唇や陰部に多数の水疱ができてしまいます。体力が回復し免疫力が戻ってくると、単純ヘルペスウイルスは再び神経節に逃げ込んで免疫からの攻撃を逃れ、再び攻撃できる日を待ちます。

重症化しやすい人は?

日本株BCGの接種国では新型コロナウイルスによる死亡率が低い傾向を認めたため、新型コロナウイルス感染に影響を及ぼす可能性が報告されている以下の要因と新型コロナウイルスによる100万人あたりの死者数(5月21日現在)を比較してみました。人口あたりの死者数は、札幌医科大学フロンティア医学研究所のデータを使わせて頂いています。世界各国の結果を毎日アップデートしてくださるため、我々研究者には非常に有用で、この場をお借りして札幌医科大学フロンティア医学研究所の皆様に心より感謝申し上げます。

(BCG以外の検討項目)

● 外出規制発動の速さ:News Japanに示された初感染者が確認されてから何らかの規制が発せられるまでの日数と比較しました。都市封鎖などのロックダウンを発令しなかった国は「封鎖ナシ」、規制策をとらなかった国は「規制ナシ」で表示しています。

● PCR検査数:OECDが報告した5月4日時点での1000人当たりのPCR検査数と比較しました。

● 高齢者:高齢者割合(%)と比較しました。

● 肥満率:BMI30以上での死亡率が高い報告がアメリカなどからあるため、肥満者数割合(%)と比較しました。

● 貧困率:米国ではニューヨーク市の貧困地区での新型コロナウイルス抗体保有率が40%を既に超えてきたとの報告もあり、貧困者割合(%)と比較しました。

● ヒトコロナ感染率:ヒトコロナウイルスは、新型コロナウイルスのパンデミックの以前より全世界に蔓延しており、ヒトコロナウイルスに対する抗体を持つ人は、新型コロナウイルスからすでに守られている可能性も報告されています。よって、季節性インフルエンザ流行期に混在するヒトコロナウイルス陽性者割合と比較しました。ただし、WHOやOECDの世界的統計がないため、各国から報告された論文のデータを利用しており、結果が出された年代は国々で異なります。

● 猫:ヒトに類似したアンジオテンシン変換酵素2を持つため、ネコやフェレットは新型コロナウイルスに感染してしまいます。ネコからヒトへの感染は確認されていませんが、ミンクからヒトへの感染は一例報告されています。アンケート調査による猫をペットとして飼っている人の割合をCat Press (2014)から引用させて頂きました。

● 喫煙率:タバコは閉塞性肺障害を起こすため肺炎の重症化が非常に高くなります。一方、ニコチンは新型コロナウイルスの感染を抑制するとの報告もあります。また、新型コロナウイルス感染による重症化は男性に多いため、男性の喫煙率と比較しました。

● 酒量:飲みすぎは免疫力を低下させることはよく知られています。一人当たりの年間アルコール摂取量(L)と比較しました。

● 米消費:でんぷんや糖分は免疫細胞のエネルギー源となるので、国民当たりの米消費量を比較しました。

● 高血圧:高血圧患者さんに重症化が多いとの報告があるため、高血圧罹患率と比較しました。

● 糖尿病:コントロールがうまくいっていない糖尿病は、免疫力低下を起こす代表疾患です。よって、糖尿病罹患率と比較しました。

● 薄毛率:男性ホルモン過剰の場合、新型コロナウイルス感染による重症化が多いとの報告があり、男性型脱毛症患者数を調べたかったのですが、見つける事が出来ず、アデランスのHPより各国の薄毛率を引用しました。

● 医療系:1,000人当たりの医師数、1,000人当たりの病床数、そして1,000人当たりのCT台数とも比較してみました。

死亡率が低い国すべてに共通して認められるのはBCG接種だけでした。また、最近になり爆発的に患者数が増えながら、BCGを接種しているロシアやインドでは依然死亡者数が欧米に比して非常に少ない状態です。同じく、感染者数が爆発的に増えているブラジルでは、他国と異なり細菌数が少なく特殊なモロー株といわれるBCGを接種しています。よって、日本株やソ連株に比べて抑制効果は疑問でしたが、ブラジルでも欧米に比べて死亡者は少ないのかもしれません。事実、5月27日での100万人あたりの死者数は、イタリア545人、アメリカ299人、ブラジル115人、ロシア26人、日本6.8人、インド3.1人です。

死亡率が突出している国を見ると、高齢者が多く、肥満率が高く、BCGが義務付けられていないという3つの共通点があるのかもしれません。すなわち、高齢による免疫力低下、BCGによる免疫訓練の欠如、そして肥満による横隔膜の動きが制限されウイルスを肺からはき出しにくい状態が重なることにより、死へとつながる重症化を引き起こしてしまうのかもしれません。事実、アメリカではBMIが30を超えるような肥満の方に死者が集中しています。また、衛生状態や医療体制に問題があるため、アフリカでは19万人以上の死者がでると当初は推測されていました。しかし、感染が拡大しながらも欧米諸国に比べて死者が非常に少ない状態です。アフリカの殆どの国でBCG接種が義務付けられていること、人口の60%以上が25歳未満の若年者である事が影響しているのかもしれません。また、日本を含むBCG接種が義務付けられている国では結核感染が未だ認められ、全世界で毎年400万人以上の命を奪っています。結核感染自体も新型コロナウイルス重症化の軽減に何らかの影響を及ぼしている可能性も否定はできません。今後はBCG接種既往が無く、肥満の高齢者に対しては早期の治療が必要なのかもしれません。

病原体に適した臨機応変な対応は?

流行を起こす病原体には、2つのタイプに大きく分けられ各々の病原体に適した臨機応変な対応が必要なのかもしれません。

●排除できる感染症の場合:死亡率が高いエボラ出血熱やSARSは強い症状が出るため感染した人の殆どは、外出したくとも動く事ができません。よって、「封じ込め」が容易となり、PCR等で徹底的に感染者を探し出す手法が非常に有効です。
●共存が必要な感染症の場合:季節性インフルエンザや新型コロナウイルスのように不顕性感染者や軽症者の多いウイルス感染では無症状の人が出歩いてしまい、知らず知らずのうちにウィルスをばら撒いてしまう結果となります。これにより、季節性インフルエンザは予防接種があるにも関わらず年間1,000から3,000人もの免疫力の低下した人の命を本邦で奪っています。アメリカにおいて、新型コロナウイルス感染者の35%は無症状で、症状がある人と同様に他人に感染させることも報告されています。よって、無症状の患者さんを把握することは不可能に近く、「むやみやたらなPCR検査による感染者数の把握」より、「本当に必要な人に、必要な時にPCR検査を行い」そして「重症化の危険性のある患者さんを探し出す」が重要となると思われます。事実、人口当たりのPCR検査数が多い国では人口当たりの新型コロナウイルスによる死亡者数が多いところもあります。また、人口当たりのPCR検査数が突出して少ない日本では人口当たりの死亡者が非常に少ないのが現実です。 共存が必要な新型コロナウイルスでは、60%以上の人が感染を経験するか、予防接種が開発され全国民に行き渡るまでの間は、常に流行を繰り返すはずです。再流行をなくすためには、病院、電気、警察、生活インフラ全てを含む例外無しでの全国民の外出禁止で国内感染を完全に封じ込め、その後は予防接種が全国民にいきわたるまでは鎖国をするしかないのかもしれません。現実的には無理ですので、「再流行は必ず起こる」ことを織り込み済みで、「未来を担う子供達の将来」を考え「経済」を守りながら「感染者数を把握するより、むしろ重症化の危険性がある患者さんを探し出し、合併症に対する早期の予防治療により死者を最低限に抑える」対策が必要になるように思います。

集団免疫は?

新型コロナウイルスを根絶させることは難しく、2009年にパンデミックを起こした豚インフルエンザのように共存が必要となると思われます。この共存に必要なのが集団免疫です。集団免疫の確立には60%以上の国民が新型コロナウイルスに対する抗体を持つことが必要と言われています。また、統計学の進歩により20~40%の抗体保持者で集団免疫が確立可能との意見も出され始めています。予防接種や特効薬が開発されるまでの間は「医療崩壊を起こさず救える命を救う」そして「経済打撃による自殺者を出さない」といった非常に難しいバランスを保ちながら集団免疫を獲得させるしかないのかもしれません。新型コロナウイルスが季節性インフルエンザのように沈静化するのは、ハーバード大学の試算では2022年以降と言われており、長期戦が必要かもしれません。最も重要な目標は、感染者数ではなく「死者数を最低限に抑える」すなわち「感染による、そして自殺や犯罪による死者を最低限に抑える」になると思います。日本では、自粛に依存し、個人情報を保護しながら、PCR検査数も少なく、より病原性が高く変異した新型コロナウイルスに対してでさえ、現在の人口当たりの死者数は他国と比べても低い状況です。「医療水準の高さ」「思いやりの精神」「マスク文化」「BCG接種」と日本独特の複合要因がOne Teamとして働いた結果と思われます。これらの日本の優位性を信じて、今後は「経済破綻に伴う自殺者を最低限におさえ」「将来を担う若者たちの未来も考慮した」スウェーデン方式または京都大学の藤井聡教授が提案される「半自粛(高齢者の徹底保護とルールを守り人と会う)」を、真剣に考えないといけないフェーズに入るのかもしれません。また、集団免疫が確立されるまでは第2第3の流行が起こる可能性は非常に高く、抗体保持者割合の地域ごとの把握は、次の流行時の対策方針を決めるためにも有用なのかもしれません。また、台風シーズンが迫っており、免疫弱者である高齢者が多く利用する可能性のある避難所の対策は急務かもしれません。


より安全に集団免疫を獲得するには、「新型コロナウイルスを正しく恐れる」「免疫弱者(高齢者と基礎疾患保持者)を徹底保護する」「少しでも体調不良を感じたら外出を避け、他人にうつさない」、「手洗いを頻回に、換気に心がけ、ウイルスの暴露を避ける動作をする(他人に触れない、向かい合って話さない、顔は触らない)」そして「感染しても無症状・軽症で終わらすため免疫力を強化する」が最低限必要なのかもしれません。

お腹の免疫から考える新型コロナウイルス対策は?

未知の新型コロナウイルスの全容も見え始めてきました。免疫力が維持できていれば、日本人は新型コロナウイルスの重症化から守られており「正しく恐れる」ウイルスと思います。 免疫細胞のエネルギー源は、腸内細菌が糖分や澱粉を分解してできるアデノシン3リン酸です。よって、BMIが25以下のかたは、いつもは我慢していた食後のデザートを免疫力強化のため今こそ食べて下さい、特に疲れている時や睡眠不足の時にはお勧めです。カレーがお好きな方は、カレーライス(ルーが多め)からライスカレー(ごはんが多め)にするなど少しの工夫で免疫力は維持できます。ただし、肥満は大敵です。食後の30分程度の軽い運動は、摂取したエネルギー源を効率良く免疫細胞に取り込ませるのに必要です。肥満の予防も兼ねて食後の運動はお忘れなく。ただし、食前の運動はお腹がすいてしまい余分なものまで食べてしまうのでお勧めできません。 新型コロナウイルスの重症化の原因の一つは血が固まってしまう事にあります。血液をサラサラにする効果があるエイコサペンクエン酸(青魚)、クエン酸(梅干しや御酢)、アリシン(玉ねぎやニンニク)を多めに摂るのも良いかもしれません。また、新型コロナウイルス感染では稀に免疫の暴走を認める事もあり、免疫のバランスを保つ事も重要です。このバランスを保つのが酪酸です。酪酸は食物繊維が腸内細菌に代謝されて作られるので、野菜の摂取はお忘れなく。 新型コロナウイルスに感染しても無症状・軽症で済むように、食事でバランスを保ちながら免疫力を強化しましょう。

 

合併症の症状は?

新型コロナウイルスが爆発的に蔓延したアメリカでさえ、免疫力が維持されていれば98%以上の方は無症状か軽症ですみます。しかし、何らかの症状が出た患者さんのうち、49歳以下で1.7%、50~65歳で4.5%、65歳以上では7.4%の方が入院による治療が必要となります。欧米人に比べて日本人はBCG等により新型コロナウイルスの重症化から守られていると信じていますが、重症化はゼロではありません。新型コロナウィルスの重症化の原因の一つは血栓症です。血栓症は血が固まり突然に血管が詰まる事により起こる病気で、エコノミークラス症候群も肺の血栓症が原因です。血管が詰まる場所により重症度や症状が異なります。また、ウイルス増殖の継続やサイトカインストームなども重症化の原因となります。新型コロナウイルスが未知であった段階と異なり、これらの合併症は既に織り込みですので、以下の様な症状が出た場合は専門の医師に早急にご相談して下さい。

● 血栓を疑う症状:手足の指に発赤・痛み・腫れなどが突然出てきた、皮膚に赤色や紫色の斑点が出てきた、ふくらはぎの痛みや腫れが突然出てきた、手足のマヒやシビレが出てきた、喋りにくくなった、物が見えにくくなった、胸が痛い等

● 肺炎(肺の血栓症も含む)を疑う症状:いつもはなんともない動作で息切れを感じる、マスクをすると息苦しくなった、寝るより座っている方が楽である等

● サイトカインストームを疑う症状:これまで経験したことのない倦怠感がある(例えば、トイレも行きたくない)、持続する発熱、悪寒がすごい、39℃以上の高熱がでた等

新型コロナウイルスを正しく恐れ、「うつさない」「うつらない」を心掛け、感染してしまっても無症状・軽症で済むように免疫力を強化しましょう。それでも、合併症の兆候が不幸にも出てしまったら躊躇せずに医師に相談しましょう。

文責:久留米大学医学部免疫学講座 溝口充志


4月6日の西日本新聞 (https://www.nishinippon.co.jp/item/n/598230/) と4月15日のRKB毎日放送の今日感モーニング(写真)で免疫強化についてお話させて頂きました。多くの皆様にお世話になりありがとうございました。

April 2020, My opinion to strengthen immunity for fighting against COVID19 was published in Nishinihon newspaper and broadcasted in RKB Mainichi TV. Millions of Thanks to related persons in this regard!!



 


ブラウン大学からNoahが本学形成外科と循環器内科でのクリニカルクラークシップに参加のため来日しました。 残念ながらコロナウイルスの影響で急遽帰国となってしまいました。

January, 2020. Noah from Brown University Alpert Medicine joined our clinical clerkship, but Corona virus concern unfortunately forced him to return USA. We are very much looking forward to seeing you again.


 Innternational Online Conference

手振り身振りを含めた実践英語を肌で感じてもらうため、月2回行われていたハーバード大学医学部とのSKYPEテレビ会議には、本学医学部学生をはじめ久留米大学附設中学の生徒さん達にも多数参加して頂きました。今後も不定期ではありますがInternational Online Conferenceを継続致しますので宜しくお願い致します。

The International Online Conference through SKYPE has been held to enhance our international collaborations and provide students an opportunity to understand practical English (with body language) from experience. This conference will be continued on an irregular basis.




助教・大学院生募集! 当講座では免疫学研究に興味のある助教・大学院生を募集しています。