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おなかの免疫から考える、新型コロナウイルスに打ち勝つための独り言

未来を見据え

「免疫を理解し、新型コロナウイルスを正しく恐れるために」

情報量が増えたため「PDF最新版に追記された文章」と「各時点でのまとめ」のみを以下に示しています。「まとめに至る科学的根拠」について、または2020年4月から1年以上の間に蓄積された全情報についてはPDFの最新版をご覧ください。

 

最新版(65版、2021430日更新)は

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[65版への追記箇所]

「(6) 腸管は?」への追記
新型コロナウイルスに感染して症状が出てしまう方では「IgA2」と呼ばれる抗体が少ない可能性が2021年4月20日に報告されました(Stephenson E, Nat Med 2021, 4/20)。ヒトのIgAには「IgA1」と「IgA2」の2種類があります。IgA1は唾液や母乳に含まれ乳児を感染症から守ってくれます。IgA2は腸で作られお腹から我々を感染症から守ってくれています。バランスの取れた食事を摂り腹の免疫(腸管免疫)を健康に保つ事が、新型コロナウイルスから守ってくれるのかもしれません。

「(9) 血栓症は?」の章の「血栓症と後遺症」への追記
新型コロナウイルス感染で重症化した患者さん130人の血液から採取した78万個の細胞を一つ一つ細胞単位で解析(single cell analysis)した結果が2021年4月20日に報告されました(Stephenson E, Nat Med 2021, 4/20)。重症化した患者さんの血液中には、血小板の起源である「メガカリオサイト」になる造血幹細胞が増えていると報告されています。これまでの報告のように、血栓形成に伴う二次的変化と思われます。また、血小板と接触した単球は肺胞マクロファージと呼ばれる肺の掃除屋になるようです。

「(27) ワクチン開発と結果は?」の章の「世界のワクチン効果結果」への追記
スコットランドから約133万人の接種者を対象とした新型コロナウイルスに対するワクチン効果の調査結果が2021年4月23日に報告されました(Vasileiou E, Lancet 2021, 4/23)。1回目接種後28日から34日でさえ、治療が必要となる入院率はファイザー社RNAワクチンで91%、アストラゼネカ社のDNAワクチンで88%減少させるようです。80歳を越えると効果は僅かに下がるようで、16歳から64歳では92%、65歳から79歳で93%、80歳以上で83%と報告されています。

イギリスから23,324人の医療従事者を対象とした新型コロナウイルスに対するファイザー社RNAワクチン効果の調査結果が2021年4月21日に報告されました(Hall VJ, Lancet 2021, 4/23)。1回目接種後21日目までにPCRで感染が確認された方は71人、2回目接種後7日目までは9人です。PCRで陽性が確認された方のうち、66%は無症状のようです。ファイザー社RNAワクチンの感染予防効果は、1回目接種後21日目で70%、2回目接種後7日目で85%と報告されています。また、過去に新型コロナウイルスに既に感染した人や妊娠年齢である35歳以下の女性はワクチンを受けられないようです。

「(29) ワクチンの副反応とアナフィラキシーは?」の章の「妊婦さんの安全性」への追記
16歳から54歳の35,691人の妊婦さんを対象としたファイザー社とモデルナ社のRNAワクチンの安全性の調査結果がアメリカから2021年4月21日に報告されました(Shimaburuko TT, New England J Medicine, 2021, 4/21)。2回目接種後の副反応は、接種部の痛み91.9%、倦怠感71.5%、頭痛55.4%、接種部以外の筋肉痛54.1%、悪寒36.7%、発熱34.6%と報告されています。発熱に関して、38°C以上の高熱が出た方は1回目接種では1%以下で2回目接種では8%のようです。また、新生児の死亡はゼロです。私は産科の専門家では無いため判断できませんが、気になる点は自然流産です。調査期間中に出産時期に至った方は827人で、自然流産が104人(12.6%)で未熟児が1人(0.1%)と報告されています。自然流産のうち、92.3%は妊娠13週以内に認められています。著者達は、「Preliminary findings did not show obvious safe signals among pregnant persons who received RNA vaccine」と締めくくっています。つまり、現時点では、RNAワクチンが妊娠さんに安全とは言えないと言う事で、さらなる調査が必要なようです。

「(31) 変異したウイルスに対するワクチン効果と各自の対策は?」の章の「インド由来変異株」への追記
インド由来の変異株が問題となっています。カリフォルニア由来の「L452R」変異と南アフリカ由来やブラジル由来変異株の特徴である「E484Q」変異の両方を持つため、「Double mutant (二重変異株)」と呼ばれています。2021年4月24日のナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)で米国スクリプス研究所のKristian Andersen 先生が、インド由来変異株は「L452R」と「E484Q」の2ヵ所の変異に加えて約11ヵ所の変異も加わっており「二重変異株」の呼び名は不適切とおしゃていました。ウイルスは日々変異を繰り返します。事実、各地域で新たに発見される変異株は、既に数ヵ所以上の変異を持っています。つまり、限られた箇所の変異だけをPCRで検査しても意味がなく、ウイルスの全長遺伝子解析(DNAシークエンス法)により全ての変異を把握する必要があります。

カリフォルニア由来の変異株は「L452R」の変異を持つウイルスとして知られていますが、「S13I」と「W152C」の変異も持っていることが2021年4月20日に報告されました(Deng V, Cell 2021,4/20)。感染力は20%程度増強していますが、イギリス由来の「N501Y」変異株よりは弱いと報告されています。2020年5月に発見され、2020年9月に蔓延を始め2021年初頭にはカリフォルニアで検出される新型コロナウイルスの半分以上まで拡大を続けています。カリフォルニア由来の変異株に対する抑制効果を調べる生体外の実験では、既存の新型コロナウイルス感染者の血漿では4~6.7倍、ワクチン接種者の血漿では抑制効果が2倍低下する可能性があるようです。しかし、生体外での実験における、この程度の低下ではワクチン効果の大勢に影響ない事は既にわかっています。事実、カリフォルニア州の2020年12月26日の新規感染者数は64,987人ですが、ワクチン接種が進んだ2021年4月27日の新規感染者数は1,839人と30倍以上の減少を認めています。

カリフォルニア由来変異株は「適応性の高いウイルス」と表現されています(Thesnokova V, BioRxiv 2021, 3/11)。感染力は20%程度しか増強していないにも関わらず、変異を繰り返し世界中に既に蔓延しています。つまり、人類と共存しやすい適応性を持っていると言う事になるのかもしれません。強毒化したウイルスは人類と共存できないため、弱毒化していると考えるのが妥当かもしれません。カリフォルニア由来変異株に、ワクチン効果の低下をもたらす可能性がある「E484Q」変異が加わったウイルスがインド由来の変異株です。インド由来変異株についての情報は現時点でほぼ無い状態で、細心の注意が必要かもしれません。しかし、Kristian Andersen 先生が言われるように「インド由来変異株に対するワクチン効果は少し低下しても大勢に影響は無い」と個人的には信じています。また、インド由来変異株は感染力を増しても毒性は減弱している可能性も否定はできません。なぜなら、変異株流行前の2020年4月27日時点のインドの新規感染者数は77,266人で死者数は3,293人です。死亡率は1.37%の計算になります。一方、変異株が主体をしめた2021年4月27日時点での新規感染者数は360,927人で死者数は3,293人です。昨年に比べて感染者数は爆発的に増えていますが、死亡率は0.91%と逆に低下傾向を示しています。

「(31) 変異したウイルスに対するワクチン効果と各自の対策は?」の章の「変異株の再感染」への追記
RNAワクチンを2回接種後に新型コロナウイルスに再感染された2名の委細な調査結果が2021年4月21日に報告されました(Hacisuleyman E, New England J Medicine, 2021, 4/21)。どちらの感染者にも7箇所以上の変異を認めるウイルスが検出されていますが、全てが共通した変異ではありません。2人に共通して認められるウイルスの変異は「T951I」、「D614G」、「Del142-145」です。少し気になる変異は「Del142-145」と呼ばれる新たなタイプの変異です。これまで注目されていた変異は、「点突然変異」と呼ばれる1つのアミノ酸が違うアミノ酸に変わる変化です。一方、1個から数個のアミノ酸がなくなる変異もあり「Deletion(del)、欠失変異」と呼ばれます。「Del142-145」では142番目から145番目までの3つのアミノ酸が欠失した変異を意味します。また、アミノ酸が新たに付加される「挿入変異」もあります。新型コロナウイルスでは、アミノ酸が立体構造を作り出すことにより我々の細胞が持つ「アンギオテンシン変換酵素2(鍵穴)」にはまり込む「鍵の型」を作り出します。アミノ酸はそれぞれ異なった電荷を帯びており「陽電荷を帯びたアミノ酸」や「負の電荷を帯びたアミノ酸」もあります。つまり、異なった強さを持つ「プラス」と「マイナス」の磁石がミクロの世界に存在しているわけです。よって1つのアミノ酸が変わっても、各々のアミノ酸の引き合い方が異なり立体構造が少し変形します。当然、あるべきはずのアミノ酸が抜けてしまっても、余分なアミノ酸が付加されても立体構造は変化します。これにより、鍵の構造が変わり、鍵穴との結合力が変化します。鍵と鍵穴がより密着できるようになれば感染力は強くなりますが、逆に密着が弱くなり感染力が低下する場合もあります。

この様なお話をすると、多くの変異を普通に持ち始めている新型コロナウイルスを過剰に恐れられる方がいらっしゃるかもしれませんが、ご安心下さい。再感染された1人目の方では2回目接種後19日目に「咽頭痛」、「鼻詰まり」、「頭痛」、「嗅覚異常」が出現していますが、1週間で症状は消失しています。2人目の方では、2回目接種後36日目に「倦怠感」、「鼻詰まり」、「頭痛」が出現し、約1週間で回復に向かわれています。また、1人目の感染者では1mLの唾液中に195,000個のウィルスが、2人目では400個のウイルスしかPCRで検出されていません。100万個以上のウイルスが新型コロナウイルス感染には必要と言う報告からすると(Marks M, Lancet Infectious Disease, 2021, 2/2)、2人の再感染者が他人にうつす可能性は非常に低いと考えられます。つまり、ウイルスが変異してワクチン接種にも関わらず感染したとしても、「軽症で済み人にうつす可能性も低くなる」と言うことです。実は、これがワクチンの真の目的です。

免疫軍は、「先鋒の自然免疫部隊」、「副将のT細胞部隊」、「抗体を産生する大将のB細胞部隊」に大別できます。自然免疫部隊とT細胞部隊はウイルスと「接近戦で戦い」撃退します。つまり、敵が我々の体内に入って来て戦い始めるため、何らかの症状がでてしまいます。一方、B細胞部隊は「飛び道具である中和抗体」が使えます。中和抗体は離れた場所から敵の侵入に必要な鍵を破壊するため、敵は我々の体内に侵入できなくなります。つまり、新型コロナウイルスは感染ができなくなるわけです。ファイザー社やモデルナ社のRNAワクチンそしてアストラゼネカ社やジョンソン・エンド・ジョンソン社のDNAワクチンと言った「次世代型ワクチン」は予想を遥かに超えた効果です。強力な中和抗体産生を誘導してくれ、感染予防も完璧に行ってくれています。よって、「ワクチン = 感染予防」と思われがちですが、ワクチンの本来の目的は「感染しても死につながる重症化を起こさせない」です。「鍵という限られた標的」を狙うB細胞の手法では、変異が得意なウイルスにいつかは攻略される可能性があります。しかし、ウイルスがどんなに変異しても、接近戦によりウイルスの体のどこへでも攻撃が仕掛けられるT細胞部隊は、手こずりながらも敵を撃退してくれます。良い例が季節性インフルエンザかもしれません。「ワクチンを接種したのに、感染してしまい体がきついや熱が出た」という経験がある人もいらっしゃると思います。季節性インフルエンザも日々変異を続けているため、ワクチンで備わったB細胞部隊の攻撃が、敵にかわされて感染してしまいます。しかし、T細胞部隊が手こずりながらもウイルスを撃退してくれるため、症状が出ても死につながる重症化を起こさずに済みます。つまり、ワクチンは「感染を予防する」だけでなく、「重症化の予防」も担ってくれています。「高齢」、「基礎疾患」、「肥満」など新型コロナウイルス感染により重症化のリスクが高い方はワクチン接種を強くお勧めします。日本集中治療学会の2021年4月21日のECMOnetによると、大阪府でECMO装着が必要となった感染者の平均年齢が67歳から、変異株に置き換わった第4波では53歳へと下がっています。世界で認められているように、日本でも変異株が主流をなすと考えられるため、40歳以上の中年層の方も積極的にワクチンを接種をされた方が無難かもしれません。また、肥満に関する691万人を対象とした調査結果が2021年4月28日に報告されました(Gao M, Lancet Diabetes Endocrinology 2021, 4/28)。肥満の定義はボディーマスインデックス(BMI)が30以上で、正常は18.5から25の範囲です。驚くことに、「BMIが23を超える」と新型コロナウイルスの重症化の危険性が出始め、体重の増加に正比例して重症化率も増えると報告されています。体重と重症化の比例は「40歳未満の若年者」に強く認められるようです。40歳未満でもBMIが23を超える方はワクチン接種を受けられた方が無難と思います。

「(40) 季節性インフルエンザとの違いは?」への追記
新型コロナウイルスは合胞体と呼ばれる細胞を作り出す、つまり我々の細胞を接着剤で引っ付ける特徴があるようです(Braga L, Nature 2021, 4/7)。これは「RSウイルス」の特徴で、特殊な季節性の感染様式を示します。季節性インフルエンザ感染は冬に増えますが、RSウイルスは冬ばかりでなく「朝と昼の寒暖差の激しい春先」にも増えるようです。また、ウイルスは変異を繰り返すため、最近では秋にもRSウイルスの感染拡大が認められるようになっています。気象予想士の天達武史さんが「いよいよ初夏に入る」と言われていました。新型コロナウイルスにとって感染拡大を起こしにくい季節に入るとひたすら願っています。新型コロナウイルスは合胞体を作り出すことによりウイルス自体も増えている可能性が2021年4月23日に報告されました(Asarnow D, Cell 2021, 4/23)。また、鍵穴をねらう抗体(中和抗体)に加えて、合胞体形成を抑制できる抗体も新型コロナウイルスの増殖を阻止できるようです。

「(45) 後遺症は?」への追記
季節性インフルエンザと比較した新型コロナウイルスの後遺症に関する調査結果が2021年4月22日にも報告されました(Al-Aly Z、Nature 2021, 4/22)。新型コロナウイルス感染による軽症者73,435人、重傷者13,654人、季節性インフルエンザて入院治療が必要となった方13,997人が調査対象となっています。新型コロナウイルス感染で重症化した感染者では回復しても、季節性インフルエンザよりも後遺症が残り易いようです。新型コロナウイルス感染で重症化して起こりやすい後遺症は、「心筋梗塞などの冠動脈疾患」、「血栓による塞栓症」、「脳梗塞」、「肺の障害に伴う低酸素血症」のようです。やはり、「血管が詰まりやすい状態」で、血栓症予防が新型コロナウイルスに対する最善策と個人的には強く信じています。

 

 

 

[64版への追記箇所]
「(11) 日本の救命率は?」への追記
フランスからECMOの治療成績が2021年4月19日に報告されました(Lebreton G, Lancet Respiratory Medicine 2021, 4/19)。「高齢者」、「腎機能の低下している方」、「心停止で搬入された感染者」、「人口呼吸器装着からECMOへの移行期間が長い患者さん」では救命が難しいと報告されています。フランスでECMOを装着された新型コロナウイルス感染者の90日目の生存率は46%のようです。一方、日本集中治療学会のホームページによると2021年4月21日時点で、ECMOが装着されて回復された患者さんは330人で、亡くなられた患者さんは186入と報告されています。生存率は63%の計算になり、フランスより非常に高い生存率です。日本の最先端医療に心より感謝申し上げます。

「(19) 再感染は?」への追記
海兵隊に入隊した18歳から20歳の新兵さん3,249人を対象とした、新型コロナウイルスの再感染の調査結果がフランスから2021年4月15日に報告されました(Letizia AG、Lancet Respiratory Medicine, 2021, 4/15)。入隊時の抗体検査で、中和抗体が1:150以上ある方を感染歴有りと判断されています。182人が抗体陽性で、その後PCR検査で再感染が認められた方は19人(10%)です。一方、2,247人が抗体陰性で、その後1,079人(48%)が感染されています。また、抗体陽性でありながら再感染した方は、皆さん抗体量(抗体価)が低かったようです。しかし、新型コロナウイルスに感染しても、ウイルス量は抗体陰性の方に比べて10倍少ないと報告されています。つまり、「新型コロナウイルスに感染して無症状や軽症で済んだ方の5人に1人は再感染する可能性があるが、人にうつす可能性は低い」と考えて良いと思います。

「(22) 原始人が教えてくれる新型コロナウイルスは?」への追記
新型コロナウイルスに感染歴がなくともT細胞軍の中のCD8と呼ばれる接近戦の専門家は、新型コロナウイルスを攻撃できる事が2021年4月13日と4月15日に報告されました(Lineburg KE、Immunity 2021、4/13; Nguyen HO、Immunity 2021, 4/15)。中和抗体と異なり、CD8特殊部隊は、新型コロナウイルスの鍵(スパイク)ではなく、「B7/N105」と呼ばれる角の部分を記憶して攻撃を仕掛けます。つまり、新型コロナウイルスの角を掴み、接近戦で敵の急所を刺し、傷口から毒を塗り込み敵を完全に撃退してくれる心強い味方です。CD8特殊部隊に司令を出すためには、ヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれる抗原提示分子が必要です。HLAは何千種類もあり、各個人はCD8特殊部隊用に6種類の、CD4特殊部隊用に2種類のHLAを持っています。つまり、持っているHLAは人それぞれ異なります。「HLA-B*07:02」と呼ばれるHLAを持っている人に新型コロナウイルスを撃退してくれるCD8特徴部隊が備わっているようです。これらのCD8特殊部隊の起源については論争中です。季節性コロナウイルスの感染による交叉免疫により生まれた可能性(Lineburg KE, Immunity 2021, 4/13)と人類に元々備わっている原始的な細胞の可能性(Nguyen HO、Immunity 2021, 4/15)が少なくともあるようです。しかし、起源が何にしろ、新型コロナウイルスを撃退してくれるCD8特殊部隊が備わっている方がいらっしゃる事は、これまで蓄積された結果から間違いないと思います。

「(28) ワクチン接種回数は?」の章の「ワクチン投与法」への追記
2021年4月16日の報道によると、調布市はワクチン接種会場を駅前に設置され、接種を受ける方は動かず、医療従事者が動いて問診や接種を行われるようです。個々の間には遮蔽板も設置され、本当に素晴らしい対応で感銘を受けています。既存の概念にとらわれず、皆さんが知恵を出しあわれる事こそが、できるだけ早く新型コロナウイルスに打ち勝つための最善策と個人的には信じています。2021年4月18日の情報番組で河野大臣が「ワクチンは現時点で予定通り国内に入って来ており、自治体から足りないとの要請があれば、いつでも追加供給が可能な状態」とおっしゃっていました。どれだけ早く各自治体がワクチン接種を多くの住民に行えるかが今後の鍵となるのかもしれません。

「(29) ワクチンの副反応とアナフィラキシーは?」の章の「DNAワクチンによる血栓症の可能性」への追記
アストラゼネカ社のDNAワクチン接種後に血栓症が起こった23人の調査結果が2021年4月16日にイギリスから報告されました(Scully M, New England J Medicine 2021, 4/16)。血栓症は1回目の接種後6日目から24日目に起こっています。14人は女性で、平均年齢は46歳(21歳から77歳)と報告されています。やはり、「血栓症と血小板の減少」が特徴のようです。フィブリノーゲンは低下か正常で、Dーダイマーは増加するようです。特記すべき所見として、22人に「血小板第4因子(PF4)に対する自己抗体」が認められています。ドイツとオーストラリアからも同様の結果が2021年4月9日に報告されています(Greinacher A、New England J Medicine, 2021, 4/9)。アストラゼネカ社DNAワクチンの1回目接種後5日目から16日目に11人の方に血栓症が起こっています。9人は女性で平均年齢は36歳(22歳から49歳)と報告されています。血栓症は多臓器に起こる可能性があるようで、11人中9人に「脳静脈血栓」が、3人に「内臓静脈血栓」が、3人に「肺塞栓」が認められています。また、PF4に対する自己抗体も陽性と報告されています。ノルウェーからも同様の結果が4月9日に報告されています(Schultz NH, New England J Medicine、2021, 4/9)。アストラゼネカ社のDNAワクチンを1回接種して7日目から10日目に5人の方に血栓症が起こっています。やはり、「血小板の減少と血栓症が特徴」のようです。これまでの報告からすると、アストラゼネカ社のDNAワクチン接種では「1回目の接種後2週間以内に比較的若い女性に、抗PF4抗体陽性で血小板の減少を伴う静脈の血栓症が起こり易い」のかもしれません。このようお話しをすると、ワクチンは怖いと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。管総理が訪米中にファイザー社CEOと交渉され、RNAワクチン5000万回分の追加供給が9月までに可能となったようです。日本で既に使用され安全性が担保されているファイザー社のRNAワクチンで接種対象年齢全員に接種が可能な計算になります。ほっと一安心です。

新型コロナウイルスの「鍵、手、手首すべてを含むスパイク領域」を用いるDNAワクチンの副作用が新型コロナウイルスの正体を明らかにしてくれるのかも知れません。「血小板第4因子(PF4)」は血小板自体が持つ物質です。PF4に対する抗体の産生は「ヘパリン起因性血小板減少症」と呼ばれ病気の特徴で、未だ機序は謎で厚生労働省の難病に指定されています。血を固まらなくするために治療としてヘパリンを投与する場合がありますが、これにより抗PF4抗体が産生され始め、血が固まらなくなるどころか逆に固まり始めて血栓を作る奇病です。DNAワクチン接種後に血栓症が起こった方では入院時、つまりヘパリンとは無関係に既に抗PF4抗体ができています。DNAワクチンに用いられるベクターの影響も否定はできませんが、新型コロナウイルスの「鍵、手、手首を担うスパイク」と呼ばれる部位が、ヘパリン様の作用を起こしヘパリン起因性血小板減少症に類似した血栓症を引き起こしている可能性があるのかもしれません。新型コロナウイルスの血栓を作る機序が解明できれば、死につながる可能性のある敵のテロ行為を防ぐことができ、新型コロナウイルスを恐れる必要はなくなるのかもしれません。

「(30) ウイルスの変異は?」の章の「その他の変異株」への追記

ブラジル由来の変異株とそれ以外の新型コロナウイルスの感染力の比較が2021年4月14日に報告されました(Faria NR, Science 2021, 4/14)。ブラジル由来変異株では感染拡大速度が1.7倍から2.4倍、死亡率が1.2倍から1.9倍増加すると報告されています。また、ブラジル由来変異株では「N501Y」、「E484K」、 「K417T」の三箇所の変異に加え、「L18F」、「T20N」、「P26S」、「D138Y」、「R190S」、「H655Y」、「T1027I」の最低でも7箇所の変異も起こってきているようです。ウィルスの変異を止める事ができないことは季節性インフルエンザが既に教えてくれています。また、米国NIHのアンソニーファウチ所長が言われるように「変異株が僅か数%検出できた段階でも、既に数ヶ月前から徐々に感染拡大が始まっている」と考えるのが科学的に妥当です。つまり、変異株が増え始めてからの変異の検査は、変異株ごとに治療法が異なる場合は意味がありますが、無い場合は意味が殆ど無いと思います。例えば、崖崩れが起こっている最中では止めようがありません。しかし、崖崩れの起こる場所を予知して未然に防ぐことは可能です。つまり、危険性の高い変異株を予知・早期発見する事が重要で、全都道府県に観察地点を数か所設置し継続した検査が科学的にも合理的と思います。また、ウィルスは日々変異を続けるため、「既存の変異」だけを検査しても意味はなく、ウィルスRNAの全長が解析できるシークエンス法が必要となります。

「(31) 変異したウイルスに対するワクチン効果と各自の対策は?」の章の「ブラジル由来変異株「E484K + N501Y + K417T」」への追記
ブラジル由来の変異株に対して、モデルナ社のRNAワクチンに誘導される中和抗体の効果は4.8倍、ファイザー社のRNAワクチンで誘導される中和抗体の効果が3.8倍低下する可能性が「生体外の実験」を用いて2021年4月17日に報告されました(Wang P、Cell Host Microbe 2021, 4/17)。中和抗体の「生体内の効果」は対数的、つまり10倍単位の変化でようやく影響を与えます。また、中和抗体以外にもT細胞部隊が実際は生体内でウイルスの撃退を行ってくれていますが、中和抗体の生体外実験ではT細胞の効果は加味されません。つまり、生体外実験でのこの程度の低下では、これまで蓄積された結果からすると、大勢に影響は無いと考えて良いと思います。

「(36) お腹の免疫から考える新型コロナウイルス対策は?」への追記

イギリスから48,400人の新型コロナウイルス感染者を対象とした非常に興味深い調査結果が2021年4月13日に報告されました(Sallis R, British Journal of Sports Medicine, 2021, 4/13)。高血圧や閉塞性肺障害よりも、「運動不足」が新型コロナウイルス感染の重症化を起こしやすいようです。運動をしている人に比べて、運動をしていない人の入院治療が必要となる重症化は2.26倍、死亡率は2.49倍も増加するようです。運動の定義は「早歩きなどを一週間に最低2時間30分以上」と定義されています。「歩く時は早歩き」を心掛けたり、緊急事態宣言下では「自宅でテレビを見る時、立って足踏みをしながら見る」など体を動かすようにお心がけ下さい。

「(40) 季節性インフルエンザとの違いは?」への追記
新型コロナウイルスは「合胞体」と呼ばれる細胞を作り出す、つまり我々の細胞を接着剤で引っ付ける特徴があるようです(Braga L, Nature 2021, 4/7)。これは「RSウイルス」の特徴で、特殊な季節性の感染様式を示します。季節性インフルエンザ感染は冬に増えますが、RSウイルスは冬ばかりでなく「朝と昼の寒暖差の激しい春先」にも増えるようです。また、ウイルスは変異を繰り返すため、最近では秋にもRSウイルスの感染拡大が認められるようになっています。気象予想士の天達武史さんが「いよいよ初夏に入る」と言われていました。新型コロナウイルスにとって感染拡大を起こしにくい季節に入るとひたすら願っています。

 

 

[ワクチン副反応とアナフィラキシーのまとめ(2021416日時点)]

ワクチンは模擬のウイルスを使った「実践訓練」で「机上の勉学」ではありません。よって、ワクチン接種後早期に先鋒である自然免疫軍が実際にサイトカインと呼ばれる可溶性因子を産生します。これにより「接種部の痛みや腫れ」、「頭痛」、「倦怠感」、「微熱」などが起こります。つまり、殆どの「副反応」と呼ばれる現象は、新型コロナウイルスに対する免疫軍の訓練の開始を教えてくれ、恐れる必要はないと思います。

私もファイザー社のRNAワクチンを2021322日に接種しましたが、免疫機構の経時的変化を身をもって体験させてもらいました。夕方に接種しましたが、当日は全く何もありませんでした。翌朝になると、接種部位に違和感があり、押さえると痛みを感じました。昼になると腕を上げると痛みを感じるようになり接種部位が少し腫れた状態でした。その後、症状は徐々に消失し、4日目には押さえても全く痛みを感じなくなりました。これが、まさに免疫反応です。

今回のファイザー社のワクチンはRNAのため、筋肉細胞に取り込まれた後に、新型コロナウイルス由来のタンパク質に変換されて初めて働き始めます。よって、タンパク質に変換されるまでは、免疫細胞はワクチンで接種された溶液を異物としては認識しません。よって、接種後数時間は無症状のはずです。もし、この段階で免疫細胞が働いた場合はワクチンの添加物である脂肪粒子に反応した事になり、アレルギー反応が強く疑われます。筋肉細胞内に取り込まれたRNAがタンパク質に変換され蓄積されて来ると、いよいよ「先鋒の自然免疫軍の実戦訓練開始」です。私の場合は、夕方に接種して翌朝に痛みが出たので、実戦訓練開始までに12時間以上を要したのかもしれません。自然免疫軍は、筋肉から放出された新型コロナウイルス由来のタンパク質をがむしゃらに食べ始めます(貪食)。これにより炎症性サイトカインと呼ばれる可溶性因子を作りだし、接種部位周辺に撒き散らかします(免疫の基礎概念についてはPDF版「(1)免疫の基本概念は?」をご参照下さい)。

炎症性サイトカインは幾つかの作用を持ちます。「痛みを誘導」して血管の細胞にも働きかけます。これにより、血管の壁を作っている細胞の間が開いてしまい、その隙間から血管内の水分が漏れだし始めます。結果、漏れだした水分が組織に溜まり「接種部位の腫れ」が起こってきます。また、血管の壁の繋ぎが緩むため血管が開き、血流も増えるため接種部位の「熱感」や「発赤」が起こります。

 

 接種部位で炎症性サイトカインを放出した後、自然免疫軍の精鋭部隊は、筋肉から所属リンパ節へと移動します。所属リンパ節は、身体中を循環している獲得免疫軍の休息の場です。ここで、樹状細胞は休息している獲得免疫軍のT細胞部隊に指示を出します。ワクチン接種部位で食べてきたワクチン由来のタンパク質の一部をT細胞部隊に見せて(抗原提示)、「このタンパク質は敵の一部なので、このタンパク質を持っている相手に遭遇したら敵とみなして即座に攻撃を行え」と指示します。これにより、T細胞部隊は敵を覚え、再び遭遇したら時差なく攻撃ができるようになります。自然免疫細胞は「T細胞にハッパをかける」ため、再び炎症性サイトカインを放出します。炎症性サイトカインは脳細胞に作用して発熱物質としても働きます。また、所属リンパ節は身体の主要幹線道路に位置しています。よって、炎症性サイトカインが幹線道路である血液中に放出され、全身を駆け巡ります。結果、脳細胞も刺激されて「微熱」が出始めます。また、全身の血管が少し開くため「頭痛」や「倦怠感」を感じることもあります。また、「悪寒」、「関節痛」、「悪心」などを起こす可能性もあります。免疫力の強い方では炎症性サイトカインが多く放出されるため、38℃を超える発熱もでるかもしれませんが、解熱薬を数回服用されれば熱は下がると思います。

すなわち、接種後数時間してから感じる「接種部位の痛みや腫れ」、「37度台の微熱」、「悪寒」、「倦怠感」、「頭痛」などの副反応は、ワクチンによる「免疫軍の訓練開始の証」であり、恐れられる必要はありません。私は、このような副反応が出ると「免疫軍が訓練を開始した」と安心すると共に「免疫軍がんばれ!」と心の中で呟いています。

私は412日に2回目の接種を終えました。免疫記憶にもとづく反応も教科書どおりに起こることを、身をもって再認識させられました。午後4時に接種し午後8時頃に「接種部の痛み」と同時に「さむけ(悪寒)」と「倦怠感」が出現しました。翌朝には37.3℃の微熱と倦怠感がありました。仕事中も倦怠感と悪寒が続き、早めに仕事を切り上げ帰宅して熱を測ると38.5°Cになっていました。解熱剤を飲み早々に就寝し、朝起きると汗でびっしょりの状態で、体温を測ると36.6°Cの平熱に戻っていました。その後は何も問題はありませんでした。このようなお話をすると副反応は怖いと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、逆に「ワクチンが命を救ってくれた」と感謝するべきかもしれません。理由は、私の副反応を例にとると以下のようになります。

新型コロナウイルスの一部を接種するワクチンに対しでさえ、38.5°Cの高熱が出てしまいました。もし本物の新型コロナウイルスに感染していたら同様の反応が起こっていた事になります。RNAワクチン接種では、打ち込まれたRNAと同じ数の新型コロナウイルス由来のタンパク質しか最大でも作られません。よって、免疫軍がヘマをやらかしても、敵は増えないため問題なく訓練は終了します。よって、副反応は数日で自然に消失するはずです。一方、実際の感染では、新型コロナウイルスは生きているので増える事ができます。よって、免疫軍がヘマをすると、その隙をついてウイルスはネズミ算式に増えてしまい、最悪の場合は重症化にもつながります。つまり、ワクチンでは一晩で熱は下がりましたが、実際に新型コロナウイルスに感染していたら「より高い熱が数日続いた」と考えられます。

最も注意しなくてはいけないのは、新型コロナウイルスは「血栓症をテロ行為として仕組んでくる」点です。朝起きて汗びっしょりになっていたと言う事は、寝ている間は水分補給ができないため「脱水状態が長時間続いた」ことになります。脱水は血栓を起こしやすくするため、実際に感染していたら「新型コロナウイルスの思う壷」にはまってしまいます。事実、新型コロナウイルス感染の重症化因子の一つは、38.439℃を超える高熱です。高血圧治療中の私は血栓症のリスクが高いため、もしワクチンでなく実際の新型コロナウイルス感染であったならば、朝起きると肺に血栓ができてしまっており、そのまま救急車で救命センターに運ばれていた可能性も充分考えられます。

実際に新型コロナウイルスに感染すると、ワクチン接種の副反応で起る以上の問題が起る事になります。私の副反応から考えると、実際に新型コロナウイルスに感染していたら私は死んでいた可能性もあったと思います。心からRNAワクチンに感謝しています。

実際の新型コロナウイルス感染とは異なり、RNAワクチン接種による副反応は殆どが「想定内の反応」で

す。個人差は勿論ありますが、熱が出ても一過性で済みますし、痛みが強くても自然に消失すると思います。米国CDCによると、ファイザー社のRNAワクチンを接種された1,215万人のうちの副反応の頻度は、「接種部の痛み67.7%」、「倦怠感28.6%」、「頭痛25.6%」、「接種部以外の筋肉痛17.2%」、「発熱7.4%」、「関節痛7.1%」、「悪寒7%」、「悪心7%」、「接種部の腫れ6.8%」と報告されています。また、ファイザー社のRNAワクチンで起る副反応の頻度は、「50歳未満で65%」、「50歳から65歳未満で25%」、「65歳以上で4%」のようです。また、「新型コロナウイルスの過去の感染歴」がある方や「1回目接種より2回目接種」で強い副反応がでるようです。やはり、免疫力が強ければ強いほど副反応も強いようです。

「免疫力が弱っているのでワクチンを打っても効果が無い」と思われている高齢者の方がいらっしゃるかもしれませんが、誤解です。RNAワクチンは免疫力の低下した高齢者でも、新型コロナウイルスを撃退するために充分な抗体産生を誘導する事が既に報告されています。高齢者では、RNAワクチン接種で「副反応も少なく、死にもつながる可能性がある新型コロナウイルス感染が予防」できることになり、これほどの幸運はないのかもしれません。

しかし、免疫軍がワクチンに対して過剰に反応すると、想定外の反応が起こる方も稀にいらっしゃるかもしれません。「解熱剤を飲んでも38度を超える発熱が続く」、「接種部の腫れや痛みが接種後24時間を超えても悪化を続けている」、「麻痺」などが起こった場合は、かかりつけ医または指定のワクチンセンターにご相談ください。また、「アナフィラキシーショック」や「DNAワクチンの副作用として血栓症が起こる可能性」にご興味がある方はPDF版の「(29)ワクチンの副反応とアナフィラキシーは?」をご覧ください。

 

[疫学データのまとめ2021322日時点)]

322日に緊急事態宣言も解除されました。新型コロナウイルスのパンデミックが発生して既に1年が経過し、世界中から膨大なデータが既に蓄積されているため2021322日時点でのデータを整理してみました。また、人口規模や経済状態により感染対策の効果も異なるため、人口・経済状態が近いG7加盟国と比較して表にまとめています。

 

(新型コロナウイルス感染死者数):札幌医科大学フロンティア医学研究所のデータを見ると、日本の新型コロナウイルス感染による死者数はG7加盟国に比べて非常に少ないのが現実です。2021322日時点で100万人あたりの死者数は、日本が69人、カナダが600人、ドイツが892人、フランスが1,411人、アメリカが1,638人、イタリアが1,735人、そしてイギリスが1,861人で最多です。イギリスの死者数は日本の約27倍です。つまり、様々な要因により日本人は新型コロナウイルスの重症化から守られていると考えて良いと思います。その要因のうち、日本に根付いている「思いやりのマスク文化」が多大な貢献をしてくれていると個人的には思います。

 

(重症化年齢):世界各国と同様に、死につながる重症化は日本でも高齢者に集中しています。厚生労働省の報告によると2021317日時点の新型コロナウイルス感染による日本での死者数は、49歳以下で73人、50代で183人、60代で601人、70歳以上で7,059人です。また、新型コロナウイルス感染による高齢者の死者数は季節性インフルエンザによる例年の死者数3,325人を超えています。しかし、高齢者に起こる「誤嚥性肺炎」による例年の死者数35,788人よりは少ないのも事実です。誤嚥性肺炎は肺炎球菌などの日和見感染菌が起こします。つまり、感染しても健常人では何も起こりませんが、高齢者だと致死的な肺炎を起こしてしまう可能性のある細菌です。また、肺炎球菌も共存が必要で、約35%の高齢者に常在しています。高齢者施設などに焦点をあてた重点的検査、さらには陽性となった高齢者に対する早期の予防的治療介入が尊い命を守るためには必要なのかもしれません。

 

(超過死亡):The Center for Evidence Based Medicine202133日の報告によると、2020年の総死者数は新型コロナウイルスの影響により、G7加盟国では3.3%から12.9%の範囲で増加を認めています。一方、厚生労働省の人口動態統計速報値によると、日本の20201月から10月の死者数は逆に1.1%減少しています。「自粛」に依存した状態での「死者数の増加ではなく減少」という驚きの結果は、日本人の「国民性の高さ」さらには世界トップの救命率を誇る「集中治療医療の質の高さ」の賜物かもしれません。

 

(自殺者数):警察庁によると、2020年の日本の自殺者数は2019年に比べて4.5%増えています。特に、2019年に比べて2020年の自殺者は、20歳代で404人、10歳代で118人も増加しており「若年者の自殺者増加が顕著」です。また、女性の自殺者も増加しています。将来の日本を背負う若者達が、新型コロナウイルスによる重症化が季節性インフルエンザよりも低いにも関わらず自らの命を絶つ状況です。「数か月先を見る」のではなく、「10年先を冷静に見据える」時期に入ったのかもしれません。(委細ははPDF版の「(37)新型コロナウイルスに打ち勝つためのバランスは?」をご参照下さい)

 

 

 

(国内総生産):経済協力開発機構(OECD)によると、G7加盟国のうち、2020年の国内総生産(GDP)の最大の減少を認めたのはイギリスの9.9%で、最小の減少はアメリカの3.5%です。日本では4.8%の減少を認めています。G7加盟国中、新型コロナウイルス感染による死者数は最低なうえ、GDP低下も2番目に少ない結果です。

 

PCR検査数):OECDによると、第1波が発生した昨年5月時点での人口1000人あたりのPCR検査数は、G7加盟国ではイタリアの34.9件を筆頭に、軒並み10件を超えていますwww.oecd.org/coronavirus/policy-responses/testing-for-covid-19-a-way-to-lift-confinement-restrictions-89756248/)。一方、日本は2.2件とPCR検査数は非常に少ないにも関わらず、新型コロナウイルス感染者数と死者数がG7加盟国中で最も少ないのも事実です。また、厚生労働省によると、昨年5月(第1波)に比べて12月(第3波)ではPCR検査数は約10倍に増えています。しかし、感染者数と死者数は共に第3波で顕著に増えたことは周知の事実と思います。単にPCR検査数を増やしたからといって、感染拡大抑制にはつながっていないのかもしれません。事実、319日の報告では、「受けたい方が検査を受ける」PCR検査体制では、「感染者を減らすどころか、逆に24%も増加させる」危険性も報告されています。重症化やクラスター発生の危険性が高い高齢者関連施設などへの重点的調査介入が有効なことを蓄積された結果が教えてくれているのかもしれません。PCRについてはPDF版「(17)PCRは?」をご参照下さい)

 

(医療体制):OECDによると、G7加盟国のうち人口1000人あたりの医師数は日本が最低で2.5人、次がアメリカの2.6人です。最多はドイツの4.3人です。また、医療従事者数(Total health and social employment)は最低がイタリアの32人で、最多はドイツの71人です。日本は65人です。人口1,000人あたりの病床数は、日本がダントツの13ベットで、最低はカナダの2.5ベットです。東京都の人口が1,200万人とすると東京都には15万以上の病床がある計算になり、医療崩壊は数値的には考えにくい状況です。G7加盟国の中で実際に医療崩壊を起こした国はイタリアだけです。ワクチン接種も開始され、少なくとも「予防法」が存在するステージに入ってきました。医療崩壊に繋がりかねない、過度な規制による「過剰な仕事量」や「風評被害」に伴う医療従事者の疲弊を法的緩和していく時期に入ったのかもしれません。

 

 

(変異株):イギリス由来の変異株による感染がG7加盟国の主流となっており、日本でも同様の結果が想定されます。イギリス由来の変異株は、感染力が少し強くなるため、それに伴う高齢者の死亡率の増加も報告されています。しかし、60歳未満の死亡率は変わらないようです。また、日本で使用される可能性があるワクチンは、全てイギリス由来の変異株に有効です。一方、南アフリカ由来の変異株に対しては最大限の注意が必要です。(変異株についてはPDF版の「(30)ウイルスの変異は?」と「(31)変異したウイルスに対するワクチン効果と各自の対策は?」をご参照下さい)

 

[ワクチンのまとめ2021223日時点)]

多くの方から「ワクチンは安全か?」、「接種する必要はあるのか?」など様々なご質問を頂きましたので、ワクチンについて各々のご質問に則してまとめさせて頂きました。

(ワクチンの機序):免疫軍は、先鋒、副将、大将の順にウイルスとの戦いに加わって来ます。しかし、柔道と違う点は、別々に戦うのでなくチームとして戦います。つまり、最初は「先鋒だけ」、次は「先鋒と副将が協力」して、最後には「先鋒、副将、大将が総動員されたワンチーム」として戦いに挑みます。先鋒に勝っても、次には先鋒と副将の二人がかりでかかってこられ、それでも勝ちをおさめても、大将までまじえた先鋒と副将の3人がかりでかかってこられるわけです。これでは、どんなに強いウイルスでもひとたまりもありません。しかし、過去に感染した事のない未体験のウイルスに対しては、副将と大将が戦えるようになるには72時間以上が必要です。この間は、先鋒のみで戦わなければならず、敵の数が多いと苦戦してしまいます。このスキをぬって、ウイルスはネズミ算式に増え敵に優位な状況が作られてしまいます。また、ウイルスが増えるため、他人にうつす可能性もでてきます。この攻撃の時差を無くしてくれるのがワクチンです。ワクチンは、新型コロナウイルスに感染した時の対策を、先鋒、副将、大将の順に段階的に教えていきます。よって、ワクチンの効果がでるには2週間近くがかかります。その後、本物の新型コロナウイルスに感染すると、ワクチンで教育された先鋒、副将、大将が同時に総攻撃を即座にしかけ、一挙に敵を一網打尽にしてくれます。つまり、ワクチンは新型コロナウイルスが体内に入れないように水際作戦を担うわけでなく、入って来たウイルスを症状がでないうちに免疫軍が一網打尽にできるようにしてくれます。また、あっと言う間に敵を倒すので、ウイルスは増える事が出来ず、他人にうつす可能性もほぼ無くなります。

ワクチンは模擬のウイルスを使った「実践訓練」で「机上の勉学」ではありません。よって、ワクチン接種後早期に先鋒である自然免疫軍が実際にサイトカインと呼ばれる可溶性因子を産生します。これにより「接種部の痛みや腫れ」、「頭痛」、「倦怠感」、「微熱」などが起こります。つまり、「副反応」と呼ばれる現象は、新型コロナウイルスに対する免疫軍の訓練の開始を教えてくれ、恐れる必要はないと思います。一方、アナフィラキシーの機序は異なります。T細胞軍には、感染症に対処するTh1部隊と、アレルギーを起すTh2部隊が存在し両者が拮抗しあっています。Th1部隊は病原体のもつ抗原を認識して増え、Th2部隊はアレルギーの原因となるアレルゲンを認識して増えます。ワクチンは病原体の抗原を接種してTh1部隊を増やす手法です。しかし、重度なアレルギーがある方はTh2部隊が常時優位な状態にあり、ワクチンの添加物である脂肪をアレルゲンとして誤認して、Th2細胞部隊が増えてしまう可能性があります。アナフィラキシーが起こる危険性は新型コロナウイルスRNAワクチンでは約20万人に1人で、季節性インフルエンザワクチンの約100万人に1人より少し高くなります。よって、過去にアナフィラキシーを発症された経験のある重篤なアレルギー疾患の方はRNAワクチン接種対象から外されています。

 

(ワクチンの必要性):G7加盟国の新型コロナウイルス感染による死者数の動向をみると、2つのパターンに大別できます。昨年23月の第1波で多くの死者を出した国では、昨年12月から今年1月の第2波の死者数は第1波に比べ同程度、やや減少、または僅かに増加しています。イタリア、アメリカ、フランス、カナダ、イギリスがこのパターンを示しています。一方、第1波を抑え込み死者数が少なかった国では、第2波の死者数は約24倍に増えています。このパターンはドイツや日本に認められます。すなわち、いくら都市封鎖により死者数を一時的に抑え込んでも、いつかは「死者数の爆発的増加を認める波」がくるという事です。

 

 

言葉は悪いですが、共存が必要なウイルスが出現すると「サバイバルゲーム」が始まります。人類全員が感染して免疫を持つまでは終息はなく、感染に負けた方は亡くなり、打ち勝った方は生存していくことになります。過去の代表例は「スペイン風邪」かもしれません。この様なサバイバルゲームに終止符を打ったのがワクチンです。実際の感染に比べてリスクを極限まで低くしたワクチンにより、人類全員が感染したのと同じ状況を作り出してくれます。例えば、乳幼児にとって、出会う病原体全てが初めての体験になります。よって、ワクチン開発以前には多くの乳幼児が「サバイバルゲーム」を克服できずに亡くなっていました。1920年代には乳幼児期に1000人中189人(18.9%)が亡くなっていますが、現在ではワクチンさらには衛生状態の改善により乳幼児期の死亡率は1000人中約2人(0.19%)まで著減しています。本邦で乳幼児に接種されているワクチンは、「結核」、「ロタウイルス」、「ジフテリア」、「百日せき」、「破傷風」、「ポリオ」、「はしか」、「風疹」、「みずぼうそう」、「おたふくかぜ」、「季節性インフルエンザ」、「日本脳炎」、「B型肝炎」、「肺炎球菌」です。これほど多くの病原体と我々は既に共存しており、ワクチンのおかげでこれらの病原体との「サバイバルゲーム」に打ち勝ってきた事になります。一方、ワクチン接種が充分にいきわたらないアフリカでは乳幼児の死亡率は未だ1000人中77人です。この様にワクチンは「サバイバルゲームを解消してくれた救世主」です。しかし、新型コロナウイルスを「今共存しているウイルス」と同程度の風土病にするためには、最低でも「全国民の60%以上」が接種を受けなければ意味がありません。もし、60%に到達しなければ、今年12月には再び緊急事態宣言を発令しなくてはいけない状況が訪れる可能性も否定はできず、日本国の財政破綻さえも危惧されるのかもしれません。

 

(ワクチンの効果):ファイザー社のRNAワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルからワクチン効果について2021218日に報告されました。ファイザー社のワクチンは2回の接種が必要ですが、1回目接種後の結果報告です。新型コロナウイルス感染者は、ワクチン接種をしていない方では1万人に7.4人に認められますが、ワクチンの1回接種で、2週間たてば5.5人に、4週間たてば3人にまで減少しています。結果、わずか1回の接種でも8991%の予防効果があるようです。非常に期待がもてる結果です。また、HIVや季節性コロナウイルスといった異なったウイルスを代用した実験により、変異株に対するファイザー社のRNAワクチンの効果について異なった結果が報告されていました。他のウイルスを代用するのでなく、新型コロナウイルス自体を持ちいた実験結果が28日に報告されました(Xie X, Nat Med, 2021, 2/8)。イギリス由来の501番目のアミノ酸が変異した「N501Y」株、さらには南アフリカ由来の3ヶ所のアミノ酸が変異した「E484K + N501Y + D614G」株に対してでさえ、ファイザー社のRNAワクチンは効果があると報告されています。また、「N501Y」変異株に対する中和効率がファイザー社のRNAワクチンで3.3倍、アストラゼネカ社のDNAワクチンで2.1倍低下する可能性が218日に報告されました。「エッ、3倍も低下」と心配されるかたもいらっしゃるかもしれませんが、ご安心下さい。抗体の強さは対数的に変化します。つまり、少なくとも10倍単位の変化で効果に影響が出始めるため、数倍単位で弱くなっても大勢に影響はないことになります。事実、著者たちも「N501Y変異株はワクチンから逃れる事はできない」と締めくくっています。(ワクチン効果についてはPDF版の「(27)ワクチン開発は?」と「(28)ワクチン接種回数は?」をご参照ください)

 

(高齢者とワクチン):「免疫が低下しているのでワクチンは意味がない」と思われる高齢者の方がいらっしゃるかもしれませんが、誤解です。皆さんは体内に様々な病原体を既に持たれています。例えば、リンパ節や脾臓が腫れてサイトカインストームを最も起こし易い「伝染性単核球症」と呼ばれる病気は、「EBウイルス」により引き起こされます。ほとんどの日本人は乳幼児期に親から感染し、EBウイルスを体内に一生涯持ち続けています。体がマヒしてしまい最後は寝たきり状態になってしまう「進行性多巣性白質脳症」という病気を起こす「JCウイルス」も、ほとんどの皆さんが体内にお持ちです。免疫軍が病原体が悪さをしないように常に見張ってくれているおかげで、命さえも脅かすこれらの病原体と我々の身体は日夜一緒に過ごす事ができています。過度な免疫低下により、これらの病気が発症してしまった方は例外ですが、それ以外の高齢者であれば「免疫が今でも伝染性単核球症や進行性多巣性白質脳症から守ってくれている」ように、ワクチンも新型コロナウイルスから守ってくれます。事実、新型コロナウイルスワクチンが71歳以上の高齢者にも有効な事は既に報告されています(Jackson LA, New England J Medicine 2020, 9/27)。

 

「余生が短いので、ワクチンは若者達に回したい」とお考えの高齢者の方もいらっしゃるかもしれませんが、お考え直し頂ければ幸いです。もし、若者達のみに限局して感染が起こっていれば、被害は季節性インフルエンザ以下で今のような状態にはなっていないと思います。高齢者に集中して激増する重症化により、医療の逼迫を招いているのが現状です。もし、ワクチン接種をされず重症化してしまうと、現在の「指定感染症2類相当」、さらには入院拒否すれば罰金を科せられる「特措法」下では、本人の意に反して入院を余儀なくされる可能性があります。すると、集中治療室の病床が使用され、一命をとりとめても、長期間のリハビリテーションが必要になり、集中治療室の病床を長期間に及び使用してしまう結果につながりかねません。これにより満床になれば、交通事故などで搬送される若者の受け入れが不可能となり、救える命を失う可能性もあります。新型コロナウイルスによる医療逼迫を防ぐためには「高齢者の方が重症化しない」、すなわちワクチン接種を早期にして頂く事が最善策と個人的には思います。

 

(過去の感染歴とワクチン):新型コロナウイルスに感染した経験がある方のワクチン接種についての判断は難しいのかもしれません。PCR陽性になった経験があっても、擬陽性の方も多く、発症しても軽症であれば抗体ができていない可能性も高く、ワクチンは受けられた方が無難かもしれません。一方。抗体はできていなくても新型コロナウイルス感染で何らかの症状が有ったヒトでは、1回のワクチン接種で1:100,000という高濃度の抗体産生が誘導され、2回目の接種は必要ない可能性が21日に報告されました(Saadat S, medRxiv 2021, 2/1)。しかし、米国国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ所長は、「検体数も26人と少なく判断するのは時期尚早」との警告を発せられています。抗体が陰性の方は2回接種するのが無難と私も思います。

 

事実、新型コロナウイルスに感染しても抗体が陰性の方109人の調査では、1回のワクチン接種では不十分な抗体量(11000)しか産生されていません(Krammer F, medRxiv 2021, 2/1)。一方、抗体が陽性であった方41名では、1回のワクチン接種で抗体量は1:10,000以上と充分量に達しているようです。新型コロナウイルス感染により少なからず抗体ができているわけですから、2回目の接種は必要ないかもしれません。また、B型肝炎や風疹などでは抗体濃度を調べて、ワクチン接種の必要性が判断されます。過去の新型コロナウイルス感染で、1:10,000以上の十分な濃度の中和抗体を既に持たれている方は、RNAワクチン接種の必要性はないのかもしれません。(ワクチン接種回数についての可能性はPDF版の「(28)ワクチン接種回数は?」をご参照ください)

 

(重症化リスクとワクチン):ワクチンに限らず、全ての薬に副作用は起こります。また、RNAワクチンは初めて用いられているため、現在の世界の状況から「重篤な副作用は稀」とは言えても、「100%安全で、将来的にも何も起こらない」とは誰も言えないと思います。しかし、少なくとも60%以上の国民がワクチン接種を受けなければ、今と同じ状態が繰り返され国家の財政破綻につながる危険も秘めてきます。よって、「接種による利益はリスクを上回る」と言うのが各国のワクチン承認の判断です。新型コロナウイルスで重症化する要因もわかってきているので、これまで報告された重症化要因をまとめてみました。要因が重なれば重なるほど重症化の危険は増してきます。「自分自身の新型コロナウイルスに対する重症化リスク」、「職場や家庭でうつしてしまう可能性のある方の重症化リスク」、「ワクチン接種による自分自身のリスク」を総合的に考えるうえでご参考にして頂ければ幸いです。

 

 

 

[2020928日時点でのまとめ(新たな情報も少し追記しています)]

20204月に3ページから始めた「新型コロナウイルスに打ち勝つための独り言」も、報告された結果をアップデートしている内に60ページ以上になってしまいました。世界中の医師や研究者の努力により膨大なデータが蓄積されて来ている事を示しています。内容が多くなりすぎたので、2020928日時点での結果を、科学的根拠に基づき表にまとめてみました。

 

(1)       死亡者数から見て、新型コロナウイルスは日本人にとって、基礎疾患の無い49歳以下の方では季節性インフルエンザより怖くなく、高齢者では誤嚥性肺炎よりも怖くないと思います。

 

 

(2)       免疫学的に見て、新型コロナウイルスは「先鋒」である自然免疫でも対処できる「弱い敵」であると思います。ただし、弱いながら免疫軍の目を盗み「血栓」を起こす「テロウイルス」であると考えられます。血栓症を起こしやすい方は注意が必要で、日頃から血栓症予防に心がける必要があるかもしれません。特に、食欲がなくなったり、熱が出たときは十分な水分補給が必要です。(委細はPDF版の「(9)血栓症は?」と「(20)免疫にとっての新型コロナウイルスの強さは?」をご参照ください)

 

 

 

(3)       新型コロナウイルスは弱いため、高齢者でも約4割の方は無症状です。一方、高齢者では獲得免疫が低下しているため、ひとたび症状が出ると約3割の方は重症化してしまいます。すなわち、高齢者施設では、「知らず知らずのうちに感染を広めてしまう方」と「重症化しやすい方」が混在されている状況が推測されます。高齢者関連施設に特化した重点的検査(Focused Protection)、さらには症状が出た方への早期の治療介入が必要かもしれません。(委細はPDF版の「(38)高齢者保護とFOCUSED PROTECTIONは?」をご参照ください)

 

 

(4)       一方、9歳未満の子供達は、新型コロナウイルスに感染しにくく、重症化も起こしにくいため、幼稚園や小学校では季節性インフルエンザに準じた対応で充分なのかもしれません。(委細はPDF版の「(7)新生児、小児、大学生は?」をご参照ください)

 

 

(5)       世界の現在の状況は「集団免疫はできる」事を教えてくれています。ただし、「免疫を持つか?」の判断には、新型コロナウイルスは免疫軍にとって弱い敵のため、従来のIgG型抗体検査では不十分です。既存のIgA型抗体検査に加え、新型コロナウイルスに対する細胞性免疫を確認するための皮内テストやIFN遊離テストの開発が必要です。

 

(6)       人口あたりのPCR検査数が日本の10倍以上のアメリカでさえ90.8%の感染者が見逃されています。また、「PCR陰性」は「感染していない証明にならない」事もわかっています。むやみやたらに行うPCR検査でなく、高齢者施設などへの重点的なPCR検査の方が合理的かもしれません。

 

(7)       感染拡大防止には、「人にうつさないための、思いやりマスク」が重要です。ただし、マスク着用による健康被害も懸念されるため、他人に接しない所では、マスクを外す習慣が必要と思います。(委細はPDF版の「(33)マスク文化は?」をご参照ください)

 

(8)       風評被害による医療の萎縮、そして「本当に検査が必要な方」が検査を躊躇する悪循環を招いている可能性が危惧されます。「風評被害を起こさない環境作り」が重要かもしれません。

 

(9)       季節性インフルエンザとの同時流行に備え、症状があれば近くのクリニックで新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの迅速検査を同時に受けられる体制が理想的と思います。

 

(10)      医学的に考えると、強いウイルスであれば免疫力の低下した高齢者に相当数の犠牲者がでてしまいます。すると、世界一の高齢化社会である日本の死亡者数は他国より多くなるはずです。しかし、結果は逆で、PCR検査数が少ないにも関わらず日本の死者数は他国に比べて顕著に低いのが現実です。新型コロナウイルスの死につながる基礎疾患は、血栓症を起こしやすい鎌状赤血球症、萎縮性黄斑変性症、肥満等です。これらの疾患は、日本人には稀であることが幸いしているかもしれません。また、自然免疫が主に戦う高齢者でも、無症状の方が多くいらっしゃいます。幼少期に自然免疫を訓練してくれた日本株BCGが、重症化から守ってくれている可能性も否定はできません(委細はPDF版の「(14)新たな免疫学的概念は?」をご参照ください)。また、日本の集中治療室での救命率は世界最高水準です(委細はPDF版の「(11)日本の救命率は?」をご参照ください)。このような多くの恩恵により「他国の人に比べて、日本人は新型コロナウイルスの死に繋がる重症化から守られている」と考えてよいと思います。

 

 

 

 


M5岩野彩子さんがRMCPでブラウン大学のJack Wands研究室で行った実験がCells (IF: 4.829)にアクセプトされました。

 


4月6日の西日本新聞 (https://www.nishinippon.co.jp/item/n/598230/) と4月15日のRKB毎日放送の今日感モーニング(写真)で免疫強化についてお話させて頂きました。多くの皆様にお世話になりありがとうございました。

April 2020, My opinion to strengthen immunity for fighting against COVID19 was published in Nishinihon newspaper and broadcasted in RKB Mainichi TV. Millions of Thanks to related persons in this regard!!



 


ブラウン大学からNoahが本学形成外科と循環器内科でのクリニカルクラークシップに参加のため来日しました。 残念ながらコロナウイルスの影響で急遽帰国となってしまいました。

January, 2020. Noah from Brown University Alpert Medicine joined our clinical clerkship, but Corona virus concern unfortunately forced him to return USA. We are very much looking forward to seeing you again.


 Innternational Online Conference

手振り身振りを含めた実践英語を肌で感じてもらうため、月2回行われていたハーバード大学医学部とのSKYPEテレビ会議には、本学医学部学生をはじめ久留米大学附設中学の生徒さん達にも多数参加して頂きました。今後も不定期ではありますがInternational Online Conferenceを継続致しますので宜しくお願い致します。

The International Online Conference through SKYPE has been held to enhance our international collaborations and provide students an opportunity to understand practical English (with body language) from experience. This conference will be continued on an irregular basis.




助教・大学院生募集! 当講座では免疫学研究に興味のある助教・大学院生を募集しています。